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物価高・円安はもう止められない! 政府と日銀がひた隠す日本経済の不都合な真実

物価高・円安はもう止められない! 政府と日銀がひた隠す日本経済の不都合な真実の写真

『物価高・円安はもう止められない! 政府と日銀がひた隠す日本経済の不都合な真実』で藤巻健史氏は、日本経済はすでに「正常な財政国家」の段階を超えており、日銀による異次元金融緩和によって辛うじて延命されている危険な状態にあると警告している。本書の中心テーマは、「円安とインフレは構造的に止められず、最終的には通貨危機へ向かう可能性が高い」という点である。
著者はまず、現在の物価高騰が一時的なものではなく、構造的であると説明する。その理由として、①日銀が金利を十分に引き上げられず、実質金利が大幅マイナスのままであること、②株式や不動産など資産価格が上昇し、資産効果がインフレを加速していることを挙げる(P7)。特に現在は、バブル期と異なり「円高」というデフレ要因が存在しないため、インフレ圧力を打ち消す仕組みがないとする(P9)。
著者は、日本財政の現状を極めて危険視している。現在の日本政府債務は約1342兆円に達しているが、それでも財政破綻が起きていない理由は、「異次元金融緩和」という禁じ手によって、日銀が国債を大量購入し続けているからだという(P43、P53)。本来であれば、国債発行が増えれば金利が上昇し、財政は持続不能になる。しかし日銀が市場で国債を爆買いしたため、金利上昇が抑え込まれてきたと分析する(P67)。
しかし問題は、その副作用である。日銀は大量の長期国債を抱えており、金利上昇によって巨額の評価損を抱えている(P91)。さらに、ETFなど株式資産によってかろうじて債務超過を回避している状態だという。著者は、世界の金融機関は中央銀行相手でも時価会計で評価するのに、日銀だけが簿価会計で問題を先送りしていると批判する(P93)。
そのため日銀は、政策金利を大きく引き上げることができない。利上げをすれば国債価格が下落し、日銀の損失が急増するからである(P96)。しかし、金利を据え置けば実質金利マイナス状態が続き、円安とインフレが進行する(P107)。つまり、
利上げすれば日銀危機
利上げしなければ円安・インフレ加速
という「詰み」の状態にあるとする(P108)。
特に著者が強調するのは、「インフレ税」という概念である。政府は増税では財政赤字を埋められない。実際、高税率所得税を支払っている人はごく少数であり、富裕層増税だけでは税収増は限定的だという(P73)。そのため、最終的にはインフレによって貨幣価値を下げ、実質的に国民資産を政府債務返済へ移転するしかないと論じる(P76)。
著者は、通常のインフレとハイパーインフレを区別している。通常のインフレは需給で発生するが、ハイパーインフレは「中央銀行への信用失墜」によって発生するという(P85)。つまり、日本国債がデフォルトしなくても、日銀そのものへの信用が失われれば、円暴落とハイパーインフレが起こり得ると警告する(P124)。
この点で著者は、CDSや格付け会社の評価は本質を見誤っていると考える。市場が見ているのは「国債が形式上返済されるか」であり、「円の価値そのもの」が維持されるかではないからである(P124)。
また、日本にはロシアの原油のような「通貨を支える資源」が存在しない点も重視している。ロシアは制裁下でも「ルーブルでしか原油を売らない」という力を持っていた。しかし日本にはそれがないため、一度円がローカル通貨化すれば、回復は困難だとする(P176)。
そのため著者は、ドル建てMMFなど外貨資産への移行を資産防衛策として推奨している(P145)。また、ペイオフ制度も「円の価値維持」を保証するものではないため、金融危機時には十分な防衛にならないと警告する(P155)。
さらに著者は、日本社会そのものにも問題があると考える。日本は財政出動を続けながら成長できなかったが、その理由は「緊縮財政」ではなく、働いても働かなくても差がつきにくい社会主義的構造にあると論じる(P165)。
そして最終的に著者は、最悪のケースとして「ドイツ式通貨改革」の可能性まで言及する。すなわち、日銀を潰し、新たな中央銀行と新通貨を導入するというシナリオである(P199)。その場合、現在の円は価値を失い、国民資産は大きく毀損することになる。
本書は、日本経済を「世界最悪レベルの財政・金融依存国家」として描き、円安・インフレ・通貨危機の可能性を極めて強く警告する内容となっている。