・日本の独自性が活かせる分野は2つ、1)シニアエコノミー、2)脱中央集権モデルである(p9)シニア層の消費が活発になれば日本経済が回復する道筋は見えてくる。これは他の国へ輸出できる(p18)
・100歳まで生きたら生活に困窮するかという試算の前提として「60歳から65歳の人が厚生年金を受給して95歳まで生きたと仮定した場合」夫が65歳以上、妻が60歳以上で無職で厚生年金だけで暮らしたら、毎月5万円ほど赤字が出る(2000万円)という話で、退職金や貯蓄は入っていない(p11)
・第二次世界大戦後に最大の功績を残したアメリカ大統領は、レーガンである。アメリカが老大国になる瀬戸際に、金融・運輸・通信の3分野で規制撤廃を進めて世界を席巻する企業群を作った(p42)日本の場合は中曽根康弘である、3公社5現業(国鉄、日本電信電話、日本専売公社、郵便、国有林野、紙幣など印刷、造幣、アルコール専売)を民営化した(p45)
・建築医療の他にも役所の規制や抵抗でDXが進まない分野はある、日本政府がすべきことは、計画経済的な「賃上げ」ではなく、21世紀の経済にあった規制撤廃・緩和である(p73)
・サイバー社会で飯の種になるのは、人間にしかできないこと、コンピュータは記憶や大量の情報処理は得意だが「ゼロから1」の発想は苦手である。見えないものを見る力、構想力が鍵である。世界の上位に日本人がいるのは「観るもの」「聴くもの」「味わうもの」など、感性が発揮される分野である(p76)
・優秀な人材を集めるために、原発の運営会社は1つにまとめるべき、福島の事故で東電社内が混乱した原因の一つは、事務系人材がトップを務める経営陣に原発部門が信頼されていなかったから(p101)
・今では事故があっても冷温停止まで持ち込めるAP1000のようなPWRもできている。中国で建設中の原子炉はほとんどがこのタイプである、また出力が小さくて安全性が高いSMR(小型モジュール炉)など新しい技術に集約していくことも考えられる、現在の古い原子炉の延命措置をやめて、最新型を導入すべき(p102)
・日本は東日本と西日本と商用電源周波数が異なるので東日本と西日本の電力融通ができないが、ABBの高圧直流送電の技術により長距離送電が可能となり日本全国を一気通貫できる高圧送電網を構築できる(p103)
・国産ブドウのみを原料として国内で製造されたのが「日本ワイン」である、2018年にワイン法が施行され、国内でボトリングされた輸入品は「国内製造ワイン」と表示されるようになった(p116)
・脱炭素の話には全国で必要とされる灯油やLPGへの具体的な対策がない、日本の脱炭素は省エネで進めるのが一番良いだろう(p129)日本のハイブリッド技術はずば抜けている、低速の時は電気で、高速になるとエンジンで走りながらバッテリー充電する(p132)
・病院の税金には保険診療報酬が年間2500万円以下の病院なら概算経費率が72%という優遇措置がある、だから仕入れ値が安くなり試供品で売り上げを上げても経費率のおかげで税金が安くなりキャッシュが残っていた、しかし現在は悪しき慣習が見直されつつあり裏で儲けるしかけは少なくなってきた(p144)
・現代社会は政界のない問題に溢れている、偏差値や記憶力や一時的な学力を測るものでしかなく価値がなくなりつつある、これからを生き抜くために必要なのは「自ら考える力」であり、偏差値を使った入試は即刻廃止すべきである(p147)
・日本のIT教育の問題点は、つくりたいシステムがないままにプログラミングのルールばかりを勉強するので、人に言われたことをプログラミング(コーディング)するだけの人材しか育たない(p153)
・川上氏は38歳の時に3代目社長の父から経営を引き継ぎ、27年近く社長を務めた、その間にピアノの生産量は世界一となり、オートバイ事業に進出してヤマハ発動機を創業している、65歳で会長に退き46歳の河島氏に社長を任せている「足元が明るいうちにグッドバイ」は事業承継の名言だと評判になった(p169)
・カリスマ経営者の後継者選びが難しい理由は、自分と新しい社長を比較して物足りなさを感じてしまうからである。後継者は自分とは別人だから、経営スタイルは違って当然という考え方を持ち、引退後には経営に介入せず、自分の経営スタイルを押し付けないなどの忍耐力が求められる(p175)
・現在のインフレの原因は2つ、1)アメリカで賃金が上がったこと、下層に置かれる日雇い・週雇いの労働者を中心に賃金が上昇した、2)ウクライナ情勢、新型コロナなどの影響で供給量(原油、小麦、ひまわり油、半導体)が減ったこと(p186)利上げでインフレを抑えるは、高欲望時代に通用したものである、今は消費者心理とは異なる、ウクライナ情勢やコロナの影響で供給不足になっているので前提が異なる(p187)
・2022年6月にロサンゼルスで開かれた第9回米州首脳会議がボイコットされた、第1回以来28年ぶりに主催国となったアメリカは、キューバ・ベネズエラ・ニカラグアを招待しなかった、この姿勢に反発したメキシコなどの6カ国、アメリカの制裁を受けているエルサルバドル、グアテマラの合わせて8カ国が参加を取りやめた(p197)
・ウクライナ、ゼレンスキー氏が掲げたEU 加盟は容易ではない、加盟を望む国は5カ国(トルコ、モンテネグロ、セルビア、アルバニア、北マケドニア)があり、トルコはもう17年間も加盟交渉がまとまっていない(p212)一方でNATOの方はEUよりは加盟しやすい(p212)
・2014年の合意では、ウクライナ・ロシア・ドネツク人民共和国・ルガンスク人民共和国、OSCE(欧州安全保障協力機構)の代表が調印し、2015年にはドイツ・フランスが仲介して「ミンスク2」が調印されている「停戦とともに、ウクライナの憲法を改正し、ドンバス地方に特別な地位を与える」と規定している。これを2019年に大統領になったゼレンスキー氏は反故にしようとしている、ゼレンスキーがすぐにドンバス地方に自治権を与えていれば、当事者であったメルケル元首相が仲介に動いていればプーチン氏も侵攻するほどイライラを募らせることはなかっただろう(p215)
・ブタペスト合意とは、1994年12月5日に、欧州安全保障協力機構において、ベルラーシ・カザフスタン・ウクライナが核不拡散条約に関連して、協定署名国が3国に安全保障を提供するという内容、アメリカ・ロシア・イギリスの核保有国3カ国がこの覚書に証明した(p220)
・もし台湾有事が実際に起きれば、中国の国内産業は即死するだろう、中国の産業を支えているのは、実は台湾企業と台湾人だから(p238)
・香港国家安全維持法の施行で香港を政治的に巻き取っても、経済や税制は維持している、法人税や所得税は中国に比べれば安いままの「二制度」状態である(p242)
・中国の改革開放は、深圳・珠海・厦門で始まって、上海・大連・天津・寧波に広がった、日本の経済発展が中央集権の単発エンジンなのに対して、中国は各都市がエンジンとなる、改革開放が成功した最大の理由はそこにある。人口100万程度の都市が100前後あるが、もう勝負はついたという印象がこの5年で顕著になった。代表として、深圳と中心とした大湾区、上海、北京と天津を中心とする京津冀である(p257)
・今の習近平氏はビジネスの成功や英語、学習塾での勉強を否定し、自分がコントロールできる国家を作ろうとしている。今起きているのは経済成長の鈍化ではなく、中国の自爆である(p261)
・米軍は2001年から20年間続いたアフガニスタン紛争に200兆円を超える戦費を投じて、アフガニスタンの復興と平和維持に務めてきた、その間に24万人以上が死亡、NATO軍は1100人以上死者を出したという報告がある、この体制がこの数ヶ月で崩壊し、一度は壊滅したタリバンが再び政権を握ったのだからアメリカにとっては完全な敗北であり、ベトナム戦争より損失は大きい(p294)
・当時のブッシュ大統領はアフガニスタンにここまで深く関わるつもりはなかった、サダムフセインがいるイラクへの侵攻に力を注ぎ、アフガニスタンは国連に任せていた。アメリカがアフガニスタンの泥沼にはまっていったのは、オバマ大統領が「本当の敵はイラクではなくアフガニスタンだ」と言い出したのが発端である、トランプはオバマ氏の方針も継続しながらも米軍撤退の方向性を打ち出した(p299)
・自動運転レベル5を実現できる企業は、100%データ勝負になる、完全自動運転の鍵は通常の走行では起こらない突発的な事態への対応だから、それぞれユニークな対応プログラムが必要になる、テスラ・ウェイモ・GMの3社は膨大なデータを握っているという点でレベル5に最も近い(p311)今のままでは、日本勢と欧州勢がデータ量で追いつく方法は見当たらない。日本勢が勝つとすれば、データベースに基づかない自動運転システムを開発した時だろう、センサー技術が強い日本のメーカにしかできない領域である(p314)
・完全自動運転になれば、自家用車の保有が不要になる、スマホで呼べば自宅まで無人車が迎えにくる、自宅の駐車場は不要、自動車ディーラーも不要、販売台数は10分の1になるはず、運転免許証は不要、自動車学校も不要、車は規則通り動くので、白バイなどの仕事もなくなる、レベル5は自動車業界のみならず、人々の暮らしも大きく変える。2035年頃に実用化される予想である、自動車メーカは箱を提供するのみ、顧客とスマホで繋がっているGAFAMや、配車サービス(ウーバー、リフト、ディディ)などのIT企業が移動の主役に躍り出るだろう(p317)
・この事業を成功させたい、自分はどうしてもこれがやりたい、という気持ちが起業家の原点である、儲かるからやる、では上手くいかない(p360)
2023年2月2日読了