suu3.jp 戻る

summary

株式会社の終焉

株式会社の終焉の写真

・資本を含めたあらゆる「蒐集(しゅうしゅう)」は、必ず「過剰・飽満・過多」に行きつく。蒐集の尺度である利子率がマイナスになったということは、いよいよその限界が近いことの表れである(p12)

・20世紀末(1998年以降)には、新自由主義が世界を席巻し、国家は国民に離縁状をたたきつけ、資本と再婚することを選んだ。これは、株価と利子率の離婚を意味する(p13)

・家計所得を測る指標はいくつかあるが、最も適切なのは、一人当たり実質賃金である。これが、1997年1-3月期をピークに、最新まで年率:0.8%で減少している(p15)

・2000年度から、限界労働分配率が1.0を下回っている、長期間にわたって下回るというのは、労働の成果を認めないということに外ならない、近代の理念に対する資本の反逆(p22)

・1991-1999年度までの失われた10年の前半と、後半で分配の在り方が異なるのは、1995年の報告書がきっかけである。派遣労働の全面解禁への道を開き、労働の低賃金化に大きな役割を果たした(p24)

・経常収支が恒常的に黒字である、日本・ドイツ(供給過剰の国)と、経常収支が赤字である、英米(需要過剰の国)を同じ土俵にあげて、欧米並みにROEを高めろと言われれば、企業は経費の一つである人件費を下げるか、納入単価を下げさせるしかない(p28)

・MxV(貨幣数量:マネーストックx流通貨幣速度)=PxT(一般物価指数x取引量)、フィッシャーの交換方程式において、3つの前提が置かれた。1)貨幣の流通速度は一定、2)取引量は、実質GDPと比例、3)実質GDPは短期内には増大できない、つまり、貨幣供給量の変動は、長期的には物価にだけ影響する、新貨幣数量説となった(p37)

・日本とドイツは、10年国債利回りがマイナスとなっているが、これは日本とドイツが世界で最も「資本係数(民間資本ストックを実質GDPで割ったもの)」が高い国であることを示している。日本では、戦後2度を除いて一貫して上昇している(p49)

・コンビニの新規設備投資は、既存の設備を不良債権化してしまう段階にきている。新規出店をして、既存店の売り上げを上げるには、客単価を上げるか、来客数を増やすかだが、賃金が伸びていない状況下では、客単価は上げられない。一日二回の来店を促すのは、コンビニの定義に反する(p54)

・欧州では、遠い場所との取引には銀や金が使用されたが、領内では独自通貨を流通させていた。これは6-8か月流通したら回収、新しい通貨は、年換算で3-6%のマイナス金利となった。こうして集められたお金で、カテドラルを建てた。見方を変えると地方消費税であった(p60)

・生活が楽になったか否かは、貯蓄残高の中央値の増減で判断できる。2002年の817万円から、2015年の761万円へと減少している(p68)

・特許会社のなかでも、モスクワ会社と、後に設立された東インド会社(1600設立)は、永続資本だったという点も大きな変化であった(p84)

・コペルニクスが公表した7つの公理のなかで、ローマカトリック教会が支配する中世社会をひっくり返したのは、「地球から太陽までの距離は、地球から恒星までの距離に比べれば、取るに足らないほど小さい(地球と天上に君臨する神は、無限に遠いとした)」というもの(p92)

・コペルニクスらは、閉じて均整のとれた宇宙を、崩壊させて、無限の宇宙を登場させた。だからこそ、あらゆる分野が思想の転換を迫られた(p95)

・1721年、国家の都合により海賊行為は禁止。アフリカ大陸からアメリカへ奴隷を運ぶ際に、海賊が奴隷船を襲い、奴隷を解放し、船舶を奪うようになったため。奴隷貿易で繁栄するイギリスとイギリス資本主義にとって、海賊の撲滅が最大の課題であった(p100)

・奴隷貿易を行うのが国家で、奴隷を解放したのが、アウトローの海賊であった(p101)

・特許会社の多くは衰退したが、三大特許会社(東インド会社、イングランド銀行、南海会社)は重要になった。イギリス国債を大量に購入してくれるので(p102)

・イギリスは、世界に先駆けて、王国の借金ではなく、国民の借金(すなわち、国債)を発明した。これが、国民国家イギリスが、絶対君主制のフランスとの覇権争いに勝利できた大きな要因であった(p103)

・1820年以降、蒸気の力を得て、鉄道と運河の時代がスタートした。ここに、「より速く」が、大航海時代の「より遠く」、そして科学革命の「より合理的に」に加わったことで、近代を特徴着ける3つの原理がそろった(p133)

・日本とドイツという、その産業において最も成功をおさめた特別の国(マイナス利回りの国)で、不正事件が起きた。これは近代の限界を示す、なによりの証拠である(p143)

・AIを所有できる人は世界の中でほんの一握り、このように特定の人を対象とした商品では、売上に限界があるにもかかわらず、仕入れにあたる研究開発費は高騰、そのため企業利益が伸びない。そのために人件費がカットされる、これが資本主義の陥っている問題。(p157)

・20世紀の「技術の時代」は、17世紀の「科学の時代」からの累積の上に築かれていた。21世紀が引き続き「技術の時代」だと信じるのであれば、少なくとも「よりゆっくり、より近く、より寛容に」を目指す技術でなければならない(p158)

・成長力は、技術進歩・資本量・労働人口の3つが源泉である。資本はすでに過剰なので、3つとも成長に貢献できなくなった。このことから、近代みずから反近代を生んでいることがわかる(p161)

・政権の良し悪しは、株価ではなく、国債利回りで評価する。ゼロ金利が目標で、マイナスでもプラスでもダメ(p173)

・企業の負債総額と株主資本の比率を考えると、リスク顕在化するのは、0.3%、預金者が間接的に保有する国債は、預金の4割に相当する、506兆なので、預金者のほうが圧倒的にリスクを負っている(p179)

・中世に一般的であった現象(人口一定社会、定住社会、身分社会、定常経済、パートナーシップ形態企業=出資と融資曖昧)が、21世紀になって再び現れてきた(p184)

・出資(株式)と融資(債券)の垣根が曖昧であるのが中世の特徴だが、21世紀の代表例として、トヨタの新型種類株式「AA型」(2015.7)である。発行後5年間は譲渡・換金できないが、その後は、発行価格で買い戻しを請求できる、元本保証付きの株、配当比率も年毎に段階的に上昇する、これは利益のことしか考えない株主とは縁を切れ、というメッセージ(p191、192)

・株価暴落等のバブル崩壊は、実は、古代ローマ帝国や、中世のイタリアでも起きていた(p198)