最近、この本の共著の一人である朝倉氏の本を読んだこともあり、ネットで見つけて興味を持ちました。記録を調べたら、もう片方の武者氏の本も過去に2冊読んでいました。
今後の資産運用として「日本株を保有する(インデックス型ファンドと理解しました)」というのはお二人の共通点ですが、それに至るまでの日本経済の解析や現在の政策・税制の在り方については、相違点があります。
この本は対談本ですが、要所要所で二人の論点の共通点・相違点がまとめてあり、読んでいて頭が整理されました。ゴールドよりも「株」を買うことを推奨されているので、私も少しは考慮しようと思いました。
以下は気になったポイントです。
・ 朝倉氏・武者氏両者の見解:もしインフレが収束するなら 従来通りの行き方で問題はない、 しかし もし インフレが定着するなら株を持つ者と持たざる者、資産を守れる者と守れない者、その差は静かに、しかし確実に、 そして 爆発的に広がっていく。 すでに世界はその方向へ動き始めている。 本書は読者にとって正解を与える本ではなく「 判断材料」を与える本になることを願っている(p4)
・武者氏の見解:りそな国有化の意味は 明確であった、これまで政府は 不良債権処理のために企業価値を犠牲にし続けてきた、 しかし りそな国有化は違った、株主の権利が守られた、この政策転換 こそが、武者氏を 強気に展示させた決定的な瞬間であった(p12)
・武者氏の見解:バブル崩壊の後のダブル底の真犯人は 、財務省と日銀のデフレ政策であった、超円高が企業の競争力を破壊し、 他国の危機なのに日本が最大のダメージを受けた理由がここにある(p17)
・ 朝倉氏の見解:リーマンショックの規模は桁違いだった、 1929年、1990年の崩壊は株と土地 だけ、しかし リーマンショックはその水面下に10倍の、デリバティブがあった、 6 京円、想像を絶する規模の崩壊が起きようとしていた (p27)
・朝倉氏の見解:日本は1990年になる バブルが崩壊してから最初は 金融引き締め のみ、 その後 100兆円に上る 公共投資をやった、 さらに 金融機関に100兆円の金を入れた、ところが リーマンショックの時は1年間で500兆円の金を入れた (p31)
・武者氏の見解:リーマンショックの実態は、 資産価格が下落して大変な時に銀行はお金を貸す どころか 回収に走るわけであるので、 売りがさらに売りを呼ぶ 悪循環が生まれた(p38) ・中央銀行が直接資産を買う、 この政策転換が「 量的緩和」の本質だった、 従来の金利政策では対応できない危機に対し、中央銀行が最後の貸し手として市場に介入する、これが新しい金融 レジームであった (p41)
・朝倉氏の見解:今株が上がっているのは通過 価値を下げて見せかけの 幻想 のように良くなっているだけ(p48)
・武者氏の見解:アメリカは新しい成長パターンに入った、株式資本主義( 資産所得)と、政府の所得再配分(移転所得) この2つが賃金の伸び悩みを補い 消費を支えている(p63)
・武者氏の見解:供給力増大と AI 革命を 構造的に分析し、 株価上昇の必然性を説く、 朝倉氏の見解: 現在の株価上昇を金融 インフレ と批判的に捉える(p73)
・朝倉氏の見解:株価 7倍 GDP 2倍未満、 この差は 単にインフレが起きただけを意味する、実体経済の成長を伴わない 名目的な株価 上昇、 これは悪い インフレの正体 である(p96)
・ 朝倉氏・武者氏の見解の一致: 2022年以降のインフレの原因は、ウクライナ 戦争によるサプライチェーンの遮断、 円安である、 統計上の物価上昇率が生活実感 より低いという認識も一致、 相違点として、武者氏の見解:供給サイドの問題が中心なのでサプライチェーンの正常化と同様 やがて インフレは収まる、 朝倉氏の見解:円安は通貨価値の喪失、 構造的な問題であり 収まらない(p101)
・武者氏の見解:日本の賃金が上がらなかった4つの理由、 円高による賃金 引き下げ圧力・ バブル崩壊の損失を賃金抑制で吸収・ 労働規制強化による時間短縮 デフレ・ 少子高齢化に対する 悲観的な見方(p103)
・朝倉氏の見解:株価は経済の「鏡」ではなくなり、 株価こそが 経済 そのものになった。株価の暴落は国家の危機と同義になった(p115)
・ 朝倉氏の見解:日本のバブル崩壊から株価が高値を取るまでに34年かかった、 でも リーマンショックの時は5年である。 それだけ 資金供給が成功したからである(p116)
・武者氏の見解: 資産価値が重要になった理由、 銀行 システムが機能しなくなった( 不良債権で信用創造 が不能になった)・企業も銀行からお金を借りる必要がなくなった(直接金融で債券を発行する)・需要創造のチャンネルが銀行 貸し出し から「 資産価格上昇」に移行した(p126)
・日経平均 10万円の時期について、武者氏の見解:10年以内、朝倉氏の見解:3年以内と予想する(p139)
・朝倉氏の見解:雇用DI調査において、全産業で「マイナス 38」非製造業は「マイナス46」これは人が圧倒的に足りない 数字である、 そこに需要刺激策を加えれば、 物価は さらに上昇する(p156)
・武者氏の見解:生活 悪化の真因は「増税」である、国民負担率が2012年の38%から2022年には 48%に上昇・ 消費低迷の原因はインフレではなく、税金と社会保険の取りすぎである。 政府の財政は改善したがその分、家計が犠牲になった(p163)
・朝倉氏の見解:インフレ そのものが問題であるのに対し、武者氏の見解: 税制のゆがみが問題である、 デフレ 前提の税制が、インフレ時代になり巨大な歪みをもたらした。両者は、同じ国民生活の苦しさを見ながら、 真犯人の特定が異なる(p165)
・ 武者氏の見解:日本の物価水準 というのは適切な数字から異常に下がった、 非常に下がりすぎた賃金・ 物価・ 株価・ 不動産、 これが正常な 価格体系に戻る過程である(p202)
・朝倉氏・武者氏の見解:個人サイトで見ると、株を買っている 、買っていないで、その人の人生が大きく変わってしまうという流れに今後10年はなっていく、物価高 が 今後 加速していくので株を持っている人はいいが 現金だけしか持っていない人は悲惨なことになる(p226)
・ 朝倉氏・武者氏の見解:あと2、3年はかかるが、 マネーを持っていたらダメで、早く買って物に変えなければならないということに、 いずれそういう方向になっていく、今回の場合はかなりのペースでマネーの価値の減価が 日本中で 起こりかけていて、高市政権はそれをさらに後押しする政策になっている(p250)
・朝倉氏の見解:日本の致命的欠陥とは、 日本は政策金利を上げることができない( 財政赤字と景気対策のため)・ 物価上昇率 3%以上なのに 政策金利は0.75% 程度、 つまり 実質金利は大幅 マイナス・ 実質 マイナス金利が続くので通貨の価値が失われ続ける・ これは日本の宿命であり 止めようがない(p253)
・武者氏の見解:投資主導の 成長が始まる、 供給力不足などで 供給力増強のための投資が必要・ 過去30年で初めて投資主導の経済成長が起こる・ 建設ブームやハイテク 投資は 供給力を増やすための投資・ 今まで海外に行っていた資金が国内投資に向かい 始める(p259)