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EVの終焉とエネルギー利権の戦い 日本企業の復活が見えた!

EVの終焉とエネルギー利権の戦い 日本企業の復活が見えた!の写真

深田女史の本は共著本も含めて、これが6冊目となります。ITに関する本を書かれていて業界に詳しくないと分からないような情報が書かれていて興味深く読みました、最近は森永氏との共著では生い立ち等についても述べられていて、彼女の苦労を垣間見た気がしました。

さてこの本は私が退職しても興味を持ち続けている電気自動車の未来について書かれています。今のところは電気自動車は脱炭素の切り札のように言われていますが、電気は使うし電池は数年で劣化するし、使い終わった車の廃棄物処理は難しい等、テレビや新聞では報道されにくい内容が明確に書かれています。

以下は気になったポイントです。

・コロナ禍の2021年に起こった半導体不足(本当はTSMCが中国へ振り向けたから、p36)で日本、欧州、米国の自動車メーカは自動車用半導体を調達することが困難となり、自動車生産台数を減産せざるを得なかった、その一方で2020年頃の中国の自動車輸出台数は100万台ほどだったが、2023年には490万台(日本を抜いて首位、p34)となり、泡を食ったのは欧州勢である。欧州はEV推進で日本を倒す予定が、中国に市場を乗っ取られたことに気づいた(p19)ロシアに対する天然ガス輸入制裁でガス代が高騰し、電気代も高騰し「ガソリンよりも電気で走る方が安い」というイメージ戦略も崩れた(p19)

・充電ステーションの増設には最低14兆円から最大37兆円ものインフラコストが必要、EVの完成試験に充放電試験が科されるため、EV1台あたり家1軒の1週間分もの電力を必要とする、年間50万台の工場で換算すると、火力発電でCO2を排出した電気を毎日5000軒分かかる(p22)出荷時点での日本製EVはガソリン車の2倍以上炭素を排出、ガソリン車がEVよりも炭素を排出するのは、11万キロ走ってから、EVは数年毎にバッテリーを交換が必要、バッテリー製造の炭素排出量が加算される(p23)

・EVはガソリン車よりも格別に消火が難しい上に、消火に必要な水量は、45倍から90倍、EVに搭載されるリチウムイオン電池は不安定で燃えやすい、電解液が可燃性で、プラス電極も可燃物質が多いのでバッテリー内のセパレータが割れるとショートして自然発火すると燃え始める、リチウムイオンは燃えると電極が熱分解して自ら酸素を発生させる(p27−8)

・ドイツでEV補助金を打ち切らざるを得なかったのは、ドイツのエネルギーがロシアに依存していて、電気代が高騰して国民の反発が強く、国民の怒りを収めるために、何兆円もの予算を電気代の引き下げに投入したため(p59)

・EVに関する今後、取沙汰される課題としては、充電渋滞、自然発火による火事、大量の廃棄バッテリーが別の環境問題を引き起こすことが挙げられる、リチウムイオン電池が液体なのが問題で、メーカは2027年を目処に全個体電池車の投入を目指しているが、安全性が解決されていない(p62)

・米GM傘下クルーズ社の自動運転タクシーによる自動運転事故が相次ぎ、中には女性を引いた後に女性の上に自動運転車が停止して動かないという事態にまで至ったものもある、そのためカリフォルニア州では、2023年10月、クルーズ車に対して営業停止を命じた、ほぼ同じタイミングで、ホンダがクルーズ社と提携し、2026年から東京都心で無人タクシーのサービス展開を目指すと発表した(p69)

・動物の目が左右2つ存在するのは、右目と左目に映る映像に視差があり、その視差からオブジェクトまでの距離を計算して、三次元空間を脳内に作り上げているからである、片目だと距離感がつかめず、危険を感じるだろう(p75)人間を含め動物は危険に対して本能が感覚情報から常に予測しているので、コンピュータのように認識しtから演算して結果を出すのではなく、何らかの動きを察知するとパッと反射的に危険を回避する動作をする、これは本能的なもので、前頭前野(コンピュータのCPU,GPU)を経由していない、頭を使わずに身体を動かしているから成せる技である(p77)

・基本的にセンサーは悪天候に弱いのだが、水は電磁波吸収体なので、雨や雪などは車載のセンサーから飛んでくる電波を吸収し反射しなくなる、そのためToF(自ら電磁波、音波、非可視光線を発射した対象物に反射させ戻ってくるまでの時間をカウントする)を測ることが困難となる。それゆえ、霧や雪、大雨の時はセンサーがうまく作動しないことが多い。逆に同じ波長の電磁波や超音波が対向車側から発射されると、誤認識の原因となる(p79)

・自動運転の未来を望むなら、車道側や信号などのインフラ側にもセンサーを埋め込み、ネットワークで繋いだ中央集権型の自動運転を、国家プロジェクトとして考えなければ難しいだろう(中国のように)(p81)アメリカでは車単体での「自律運転型自動運転ソリューション開発に走ったが、中国は強権国家としての強みを生かして車と道路を連携させる中央集権型に向かった結果、この分野でのイノベーションが進んだ(p93)

・人間が対象物を認識するには、それまでの経験で得た視覚、触覚、聴覚、嗅覚、味覚などのセンサー情報に加えて、言語情報を抽象化した情報を複数の「恒常性」として保持しているので、そこに新しい情報が入ってきても「これは〇〇だ」と判断できる(p96)

・政府が使用時には低消費電力の最先端のチップを推進するのは喜ばしいことだが、生産時に従来の10倍以上の電力を消費する工場の電力をどのように賄うのか、現実的なソリューションを提示すべきである(p98)

・太陽光パネルは、火力発電や原子力発電と比較すると、同じ量の発電をするのに100倍以上の土地を必要とする、それだけの土地を確保するために畑や山林を潰し、整地するために大量の除草剤をばら撒く、土地汚染は必至である(p108)太陽光パネルは、一般的に寿命が20−30年と言われ、その寿命を迎えつつある中、廃棄物問題に直面している。ゴミとして燃やすこともできないので、地下に埋める建てられるが、パネルの種類によっては、鉛・セレン・カドミウムなどの有毒金属が流出して、地下水を汚染するリスクがある、日本は2038−40年頃がピークとなる(p110)

・2017年2月、アスクルの物流倉庫が火災になり、鎮火までに12日もかかった、倉庫の屋上に大規模な太陽光パネルを設置しており、感電の恐れがあったため水もかけられず、非常に手間取ったと報じられた。燃え尽きるのを待つしかない、何もしないというのが最善策という不安だらけの代物である(p112)

・自前の発電設備を持たない新電力の多くは JEPX(日本卸電力取引所)を通じて大手電力会社からでた余剰電力を調達している、新電力は仕入れコストが膨らんでも、それを電気料金に転嫁できない。解約が相次ぐことになるから、その結果、仕入れコストが電気料金を上回る逆ザヤが発生した(p130)高値で買うことを見送ってしまうと、今度は電力を供給しなかったことによる「インバランス」と呼ばれるペナルティを払うことになり、それが原因で連続倒産となる(p131)

・政治家、官僚、多国籍企業、財団の代表が出席し、北米や欧州の各地で年1回開催される完全非公開の会議(ビルダーバーグ会議)で示されるアジェンダ(行動計画)を、ダボス会議(G7の支柱となっている、年1回スイスのダボスで開かれる「世界経済フォーラム」の年次総会)が推進するとう二重構造となっている(p150)

・BRICSには、エジプト、トルコ、サウジアラビアの3カ国が追加で加盟されると報告された、それ以前に、イラン、アルゼンチンが中国の支援を受けて加盟申請している。ロシアのウクライナ侵攻を批判して即時撤退を求める2022年の国連会議で、ロシア、ベルラーシ、北朝鮮など5カ国が反対したほか、中国・インド・南アフリカなど35カ国が棄権している、これら資源国勢力は「グローバルサウス」と呼ばれ、結束力を強めようとしている。サウジアラビアは自国で採取される原油は西側諸国に市場価格で売って、安値で買えるロシア製の石油を国内で消費している(p152)

・世界中の産油国でいろいろな事件が相次ぎ、石油の供給量が不足したが、石油価格は実際には上がらなかった。減産した穴を、アメリカのシェールオイルの増産によって埋めたから。2013年あたりから、アメリカの1日あたりの原油生産量は、ロシアやサウジアラビアを超えていった。中東の弱体化も図れるし、自分たちのオイル収入も上がるという一石二鳥である(p156)

・アメリカはシェール採掘技術を使い、ウクライナ東部ハルキウ州とドネツク州にあるシェールガスを採掘しようという動きがあった、バイデン大統領の息子(ハンター)が幹部になていたウクライナ天然ガス事業である(p158)ロシアのウクライナ侵攻が2年以上たった今でも混迷しているのは、シェールガス問題が理由の一つである(p161)

・ロシアはアメリカによるSWIFT制裁を受けても、違う抜け道を見出した、通貨が暴落してもゴールドとの交換を発表して、暴落を食い止めた、西側諸国による制裁に同調しない国々に対して、石油を3割引きで売った、サウジアラビアなどは飛びついた(p166)

・ドイツは手のひらを返したように中国に対して「太陽光パネルとEVでデフレを輸出している」と批判した、欧州はロシアの脅威から天然ガスに依存することもできず、中国に負けられないので、これ以上のEVの推進もしたくない。これまでゆっくりと進めてきた水素技術の開発を大幅に加速させる方向に舵を切り始めた(p195)

・今の時代のクルマは、もはや板金で直すことができない時代になった、車のあらゆる場所にセンサーが設置され、板金すれば不具合の原因となるため(p218)

・EVを仕入れた企業側は、値段がつかないので在庫を処分することもできず、無料であげる、と言っても買い手もおらず、かといってEVにかかる膨大な費用を賄うこともできず、放置する以外に手段はない(p220)EVはエコ以前に「中国しか儲からない」という現実が露呈し、欧州の政治家から見放されつつある(p221)