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2035年 増える富・消える富の見分け方 インフレ地獄を生き抜く資産戦略

2035年 増える富・消える富の見分け方 インフレ地獄を生き抜く資産戦略の写真

本書は、インフレと構造変化が進む時代において、「どの資産が残り、どの資産が消えるのか」を見極めるための基準を提示するものである。著者はまず、変化への備えは資産を持ってからでは遅く、危機は「貧しい者」ではなく「何も備えていない者」から奪うと指摘する(p6)。
現在のインフレは単なる金融要因ではなく、供給不足を伴うコストプッシュ型であり、金融政策だけでは解決できない(p27)。ロシアのウクライナ侵攻やサプライチェーンの混乱によってエネルギーや物資の供給が制約されているためであり、求められているのは生産力の回復である(p27)。この状況の中で、通貨そのものの価値が揺らぐ「グレートリセット」が到来する可能性が示される(p35)。
政治・経済の構造も変化している。アメリカでは通商政策と安全保障政策が関税によって一体化されており、国家戦略として経済が動かされている(p42)。また、スタグフレーションに対する解決策は賃上げしかないが、それを実行できる企業は限られているため、格差は拡大している(p47)。そのため個人は、自らの能力を高めるか、収入源を多様化するか、あるいは海外市場に活路を見出す必要がある(p49)。
資産選択において重要なのは、「価値が毀損しないもの」を選ぶことである。富裕層は希少性があり供給がコントロールされ、市場価格が維持される資産を選び続けている(p54)。値上がりを狙うのではなく、価値が下がらないものを保有するという考え方である。
不動産については、日本特有の低金利環境と制度が有利に働いている(p59)。資産形成の基本は「価値が下がらない物件を他人資本で取得し、賃料で返済する」ことである(p108)。ただし成功のためには地方ではなく都市部への投資が重要であり、そのための種銭を先に作る必要がある(p114)。
企業や経済の将来を考える上では、人口増加市場への進出が重要な条件となる(p63)。またトリクルダウンは東京都心とその周辺に限定され、地方への波及は期待できない(p68)。
日本経済の現状は、円安の恩恵を受ける一部企業と、多くの中小企業の間で二極化が進んでいる(p185)。コスト増を価格転嫁できない企業が多く、金利引き上げも難しい状況である(p185)。
資産の中ではゴールドが重要な位置を占める。ゴールド価格の上昇は需給だけでなく、地政学リスクや中央銀行の動き、富裕層の資産配分の変化によるものであり、上昇圧力が強い(p189)。周期的にも2027〜2028年まで上昇トレンドが続く可能性があり、1万ドルに達する可能性も示される(p190)。また金銀比価の拡大から、シルバーの上昇余地も大きいとされる(p191)。
さらに技術面では生成AIの普及により、使う者と使わない者の差が拡大し、労働の価値そのものが変化している(p204)。その中で著者は、労働者としてスキルを磨き、それを事業化し、余剰資金で投資するという段階的な成長を推奨する(p271)。
また、資産形成においては「信用」という見えない資産が重要である。信用を伴う支出はさらなる機会と資産を生むが、信用のない支出は単なる浪費である(p290)。
最終的に著者は、グレートリセットにおいて資産は厳しく選別されるとする。上昇するのは都市中枢や流動性の高い資産、ゴールドや外貨、テクノロジーであり、下落するのは過疎地や流動性の低い資産である(p319)。判断基準は「国家が守るか」「すぐに換金できるか」であり、この視点を持つ者だけが次の時代を生き抜くことができる。