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日本車は生き残れるか (講談社現代新書)

日本車は生き残れるか (講談社現代新書)の写真

・日本の自動車業界では往々にしてE(電動化)やA(自動化)の開発が先行して話題になりがちだが、C,A,S,Eを並列で眺めていると本質を見誤る恐れがある。最大のポイントは、Cによって、自動車がIoT(モノのインター)の枠組みの中に取り込まれていくという点である。自動車というモノがインターネットに繋がると、自動車を取り巻く環境が大きく変わることになる。パソコンがインターネットと繋がってGAFAに代表されるIT企業が生まれた、電話とネットが繋がったスマホの登場によって、アプリやサービス提供者が生まれた。これと同じ文脈で今の自動車業界は捉えられるべきである(p5)

・車が電動化するということは、完成車に部品を提供するサプライヤーを含めたサプライチェーン全体を大幅に再編する必要が生じる。これまではエンジンを大量に生産する能力を持つことで参入障壁を高くし利益を生んできた。電動化が進むに当たってどう差別化をはかるかが大きな課題となる。さらに電動化では電池のコスト、高電圧を制御する技術(パワーエレクトロニクス)が必要となる(p25)

・日本でここのブランドが生き残っている(トヨタグループ(ダイハツ、スバル、マツダ、スズキ)、ルノー(日産、三菱)、ホンダ)のは、エンジンを自社で開発する力があるから。自社のエンジン開発製造こそが完成車メーカ最大の強みであり、他社を阻む壁であり、利益の源である。これが電動化、CASE化により失われてしまうことになる(p31)

・EVの根幹となる3つの部品、動力をタイヤまで伝える駆動系として電気モータ、リチウムイオン電池、電圧を変換する制御系の装置であるパワーエレクトロニクス(D C-DCインバーター、インバータ)がある(p31)

・日本の家電産業が再編を余儀なくされた一因は、垂直統合型から水平分業型に生産の現場がシフトしていったから。垂直統合型は、製品開発から生産・販売まで全てのプロセスを1社または1つのグループで行う形態、それに対して、水平分業型とは、製品の中心となるような部品の開発・設計などは自社で行うが、それ以外の製造・販売は外部に委託する(アップルのiphoneが代表例)がある(p33)

・完成車メーカの営業利益率はトップはフェラーリ(23%)、2位は中国の吉利汽車、3位はトヨタ(8.5)だが、スバルは1台あたり35万円、日産・三菱・マツダは利益が激減していて、車を作っているだけでは儲からない時代になっている(p43)

・自動車産業界の新しいルールとして、1)自動車がIoTに組み込まれてパソコンやスマホのようになる、2)垂直統合から水平分業への変化、3)データとソフトウェアを制するものが全てを支配する、4)自走社電動化の流れはますます加速する、5)自社の手持ち技術から次の事業を興していくというスタイルから、社会の課題から次の事業を興していくスタイルへの転換(p45−47)

・自動車産業が目指すべきは、スケーラブル(拡張可能性)かつ、サステイナブル(持続可能性)な事業の創出である(p47)

・自動運転は次の3つの軸で整理する、1)人を運ぶのか、物を運ぶのか、前者は目標レベルや難易度が数段上がる、安全性と快適性の両立は難しい、2)商用か非商用か、トラック・バスといった商用向けの方が、自動運転車両を活用したビジネスモデルが想定しやすい。3)走行環境、市街地なのか高速道路などの長距離輸送なのか。アメリカでは、モノの輸送・商用・フリーウエイを中心とした長距離輸送から自動運転を始める試みが現実味を帯びてきている(p69)

・アマゾンがEVや自動運転車両に関心を抱いているのは、年間9000億ドル(9.9兆円)以上に達する莫大な配送コスト削減が目的とされている(p83)

・ドイツの自動車業界を中心した変革の方向性は、1)自社だけでは不足する機能を躊躇なく買収、合併を通じて補完する、2)オープンイノベーションの重要性、外部との研究開発協力を通じて外部のリソースを効率的に活用する、3)組織の大胆な再編成(p153)

・CASEを起点に自社や業界のイノベーション・再編に取り組む中国企業として、NIO・BYD・ジーリー・上汽集団を取り上げる(p165)BYDは、EVについては、「7+4』をせんりゃくを掲げ、幅広い分野での新エネ車対応を目指している(p177)

・日本の自動車産業の弱み、1)モノづくり信仰、2)垂直統合への強いこだわり、3)自前主義、4)電気・材料・IT系エンジニアの軽視、5)形のないものにお金を払えない(p216−229)