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summary

何もしないほうが得な日本 社会に広がる「消極的利己主義」の構造 (PHP新書)

何もしないほうが得な日本 社会に広がる「消極的利己主義」の構造 (PHP新書)の写真

・本書の前半では「何もしない病」が日本社会全体に広がっている現実を示すとともに、それが人々の単なる消極性などではなく、打算に基づく功利的な振る舞いであることを説明する、後半では「何もしない病」の根底にある組織や社会の構造的な欠陥を浮き彫りにし、そこから日本人の行動を変容させる方法について論ずる(p9)

・官僚制の逆機能が目につくようになった背景には、本来の官僚制とは対照的な共同体的性質を帯びてしまったことにある、その条件として、1)組織が閉鎖的、役所間・民間との間での転職がない、2)成員が同質的、価値観や考え方が同質的になる、3)個人が未分化、欧米のように個々人の役割や分担が不明確で、個人が組織・集団に溶け込んでいる(p43)

・退職理由の本音の理由は、上司や同僚などとの人間関係や労働条件に対する不満であるにもかかわらず、表面的にはキャリアアップや仕事内容など前向きな理由を挙げる傾向にある。会社にはポジティブな理由しか伝わっていないことを意味する(p55)

・日本では成果よりも態度や意欲を評価する傾向が強いので、日本人の方が中国人よりも「やる気」があるように見える(p59)

・問題は独創性や革新性などが決定的に重要な仕事にまで定型的な業務と同じような評価制度が適用されることにある(p61)

・自分が就きたい仕事以外には適性がないふりをした方が得である、と考えている人が少なくない(p68)この背景には、終身雇用という大きな制度の骨格がある(p72)

・会社への貢献度の報酬に対する超過分を貯金に例えるとすると、45歳くらいでやめるのが一番損である(p83)

・会社にとってはチャレンジングな人材が必要だが、同僚としてはあまり歓迎しない、いわゆる総論賛成・各論反対である。この本音こそ日本の組織を語る上で重要な意味を持っている(p99)

・内部通報制度が設けられていたにもかかわらず、不正は早期に発見できなかった、この制度の利用がいかにハードルが高いか、すなわち会社という共同体を敵に回すことがどれだけ困難かを物語っている(p106)

・大学の偏差値を重視した社員採用を含め、企業の人事制度の骨格が変わらない以上、生徒たちの価値観・行動様式も変わりそうにない(p135)

・何もしない方が得だと信じさせる構造になったのは、日本の組織や集団が一種の共同体だったから、正確にいうと共同体に近い性質を備えていたから。メンバーの入れ替わりが少なく、組織の内と外の間に熱い壁が築かれている(p140)

・共同体の中では、公式な評価よりもむしろ「評判」の方がしばしば実質的な機能を果たしている。多くの会社では、周囲から高い評判を得た人が経営者に上り詰める(p167)

・大学は人々に学ぶ場を提供する一種のインフラとしての位置付けることが可能ではないか、各大学はいかに良質な授業を提供し、学生を惹きつけるかで競い合えば良い(p197)

・一人一人のメンバーが開かれた世界で生活し、多様な利害関係を持っていることを前提に、組織を設計し直すことが必要になる、再設計の指針として民主化の三原則を提示する、1)自由参加、2)最小負担、3)選択の原則:参加できる年度、時間帯を自己申告するなど、個人の選択を最大限尊重する(p201)

2022年12月28日読了