・日本は円高に対して市場の自律的回復を過信し「 産業構造の転換」 という 本質的課題を先送りした代償は、格差拡大と成長力の減衰という形で跳ね返ってきた。 具体的には 世界経済の主戦場が「 ハードウェア」 からGAFAM に代表される「 IT ソフトウェア」へと移行する中で、 日本は過去の成功体験である「 ものづくり」に固執した。 その結果 かつて世界シェアの50%を握った 半導体 や、世界を席巻した家電はデジタル化の波に乗ったサムスン や アプリという海外勢に市場を奪われた(p30)
・シリコンバレーは 国防予算を受け皿とする スタンフォード大学を中心に発展した、ここで育まれた軍事用 ネットワークが「インターネット」へ、ミサイル誘導技術が「 GPS」 へと 民間転用され・ Google マップや Uber といった 巨大ビジネスが生まれた。 Google の検索エンジン開発や iPhone の音声認識 も、 元をたどればこの国家 投資が 源流であり 実践的にはアメリカの税金によって 下支え されていた(p36)
・通常の資本主義では企業は自らのリスクで資金を調達し 失敗すれば 市場から淘汰されるが、中国の国家資本主義では国が戦略的に定めた 産業に対し、 政府系金融機関を通じて 無尽蔵とも言える 資金が注入される。利益が出るかではなく 国家の派遣に必要かという基準で採算度外視の巨大投資が実行されるため 個別の民間企業で戦う 西側諸国はその規模とスピードにおいて 太刀打ちができなかった(p34)
・2026年 名目 GDP でインドに追い抜かれ 世界第5位となった、2025年10月に発足した高市 政権は「ササエノミクス2.0」を発動した、 この正体は、 長年続いた 緊縮財政を捨て、国が巨額の投資を行う「積極財政」 への大転換である。国が生き残るための分野に政府が直接お金を注ぎ込み、 民間 任せではできなかった成長を 国家主導で促すことになった。この結果 日経平均は5万円台に上昇した(p39)
・日本の物価は世界に比べて異常なほど安い、 2025年7月時点 日本のビッグマックは480円であるか アメリカでは、 円換算で836円、 スイスでは 円換算で1337円である。 日本円は「マイナス 43.9%」 過小評価されている。 つまり 日本の物価水準は 世界標準の「 ほぼ半額」である (p44)
・日本は 2025年上半期において 経常収支は 17.5兆円になり過去最大の黒字を記録したが、 貿易黒字が占める割合はわずか 0.3%程度で、残りは 過去 海外に投資した資産から得られる配当や 利子によって 黒字を維持する構造に変わっている(p49)
・日本は 巨額の国債を持っているので 金利を上げることが難しい、 日銀が保有している国債のほとんどは 過去のゼロ金利時代に購入されたものであり 国際から得られる利息=収入はほぼゼロである、 一方日銀は民間銀行に日銀が預けてある 当座預金に対して政策金利に応じた利息を支払わなければならない、 つまり 国債からの利息はほぼゼロにもかかわらず、 政策金利を1%上げると民間 銀行への巨額の支払い利息が生じてしまう(p63)
・ 企業は巨額の内部留保を持っているが、 貯め込みが問題の本質ではなく、 企業が攻めの投資や大胆な賃金を行えるだけの「将来の安心感」「 成長の期待」を 日本 市場が提示できていないところに問題がある。 このため この悪循環を断ち切るための規制改革・ 需要 創出が望まれている(P74)
・ 日銀が大量のお金を供給してもそれが企業のと設備投資 や 賃金増加には繋がらなかった、 しかし私たちの年金積立を運用する GPIF が株高によって 巨額な運用益を計上した、 これにより 年金財政の持続性が高まっていることはメリットになっている(P82)
・ 現在の日本版 スタグフレーションは「 マイルドなインフレ+ 人手不足( 完全雇用) の中での貧困化」という、歴史的に新しいタイプである点に注意が必要である。 失業していないため 危機感は共有されにくいが、見出 替える 的に生活水準が 切り下がっていく 点でよりタチが悪い「 貧しい 完全雇用」と呼ぶべき状況に陥っている (P106)
・ 中国が台湾 統一を急ぐ理由は 軍事的合理性 が存在する、台湾の東側= 太平洋側は海岸からすぐに 水深数千メートルの深海が広がっているので、中国の原子力潜水艦は誰にも 察知されることなく 太平洋のどこからもアメリカ本土を狙えるようになる。 台湾を取ることは 中国にとって、アメリカと対等な核 超大国になるための最終 条件である(P122)
・防衛産業 の隠れた実力とは、 最終製品よりもそれを構成する基幹材料にある、特に 航空宇宙分野における日本の素材産業のシェアは圧倒的で欧米の軍事産業も日本のサプライチェーンに依存せざるを得ない構造が存在する、日本の素材技術がなければ 西側の第5世代航空戦力は成立しない構造が存在している(P142)
・ウクライナ 戦争が如実に示したのは物理的破壊力(陸海空) を行使する前段階、あるいはそれと並行して展開される「宇宙・ サイバー・ 電磁波」 領域での攻防が勝敗の行方を決定づけるという事実である、 いかに高性能な戦車や 護衛艦を持っていても機能しない(P154)
・ロシア軍は強力な電子戦 によって スターリンクの無力化を試みたが、 スペース X 側は驚異的なスピードで 対抗措置を講じた。わずか数日で ソフトウェアを書き換え 信号の周波数や 変調方式を変更して妨害を回避した。 スターリンクの軍事利用は 従来の軍事衛星通信の常識を完全に覆した、数千機の小型衛星が低軌道でメッシュ ネットワークを形成しているため、 数十機を破壊 無力化してもシステム全体はダウンしない。 この分散型アーキテクチャー こそが、 物理攻撃・電子攻撃に対する最強の防御となった。この事実は高価な大型衛星を少数持つより、 安価な小型衛星を多数 連携させる方が攻撃に対する「復元力」が高いことを証明した(P156)
・ 日本の製造業の真の強みは 一般消費者の目には触れない「縁の下の力持ち」、 それが「 素材・ 部品・製造装置」の分野である (P206) 半導体 サプライチェーンにおいて、 「前工程の製造装置」「後工程の部品」この上流と下流の両端という「 チョークポイント」を握っている、 これがアメリカや 中国からも無視できない存在であり続ける真の理由である(P210)
・現代の自動車は「走る スマートフォン」とも呼ばれ 車載ソフトウェアが競争力を左右する時代になっている、車自体が常にインターネットに繋がり、 運転支援機能やエンターテインメント機能が随時 アップデートされる。 テスラや中国の EV メーカーはこの世界で先行している、日本のトヨタの車載 OS の開発は本格導入は2026年からである(P226)
・日本が「学び直し」で足踏みしている時に巨大な変化が起きた、 それは 実力差を決定的に広めてしまう「 生成 AI」 である、 2023年以降の生成 AI の爆発的普及は、2025年の労働市場に 決定的な「 AI 格差」をもたらした、 AI を使いこなして生産性を数倍に高める「 AI 強者」と AI に代替 される「 AI 弱者」への二極化である。 この格差は 従来の努力や 長時間労働では絶対に埋めることができない。 テクノロジーを拒絶して 淘汰される側に回るか、 AI を徹底的に 使い倒して「進化する側」に回るか、 私たちはその分岐点に立たされている(P328)
・あなたが学び 獲得した「知る力」と「考える力」 激動 の時代にあってもあなたを守り、 道を切り開く 武器であり続ける。「 学び続けること」 これこそが 不確実な未来に対する「唯一にして最大の生存 戦略」である。私たちが変化を恐れず「 学び」「 行動する」 そうした 一人一人の「小さな変化」の積み重ねが、 やがて この国の未来を大きく変えていくと筆者は信じている(P350)