・中国の統計で信用できるのは、電力消費と貨物輸送量と銀行融資だけ、と言われる(p39)
・日本の特許出願数は、リーマンショック翌年以降、劇的に減った。一方、サムスン電子を筆頭に韓国、中国企業は件数を増やした上に、日本電気メーカが削減した2万人ともいわれる人材の受け皿にもなった(p46)
・金融はグローバル化しているのに、監督は国ごと、危機対応のコストは各国納税者が負う、市場と政治の溝がかつてなく広がり、世界中が飲み込まれたのがリーマン危機(p56)
・FRBによる量的緩和からの出口は、インドネシア、トルコなど経常収支が赤字の新興国を揺さぶる、特にインドが深刻である(p41)
・破たんしたリーマンブラザーズの負債総額は6130億ドル(60兆円)で史上最大であった。山一證券が3.5兆円なので、桁違い。負債は資本の32倍(p69)
・2008年9月12日、格付け会社がAIGの格下げ検討に入り、緊迫度が高まった。格下げとなると、AIGは子会社のデリバティブ取引に関して、追加担保(1.3兆円)を入れなければならなかった(p71)
・16日、ニューヨーク連銀は特別融資を発表した、銀行以外への融資を認める米連邦準備法13条を発動した、その額、850億ドル(8.5兆円)。FRBは保険子会社を含む資産を担保にとり、米政府は株式の8割を取得、政府管理とした(p73)
・公的支援を拒んできた米政府がAIGを救済した理由は、デリバティブ取引が2.7兆ドル(270兆円)あり、そのうち1兆ドル(100兆円)が主要12金融機関との取引なので。AIGは、子会社経由で金融機関の投融資の損失を保証する保険を一手に引き受けていた(p74)
・AIG危機の原因となったCDSは、1990年代後半のアジア通貨危機の教訓から投融資のリスクを管理する保険として生まれた。ピーク時(2007末)の取引規模は、想定元本で58兆ドル(5800兆円)と、米GDPの4倍、2012年末も25兆ドルもある(p80)
・リーマン破綻を第一の衝撃とすると、第2の衝撃は、9月29日、危機の根っこにある不良資産を金融機関から買い取る、金融安定化法案(TARP)を準備した。公的資金枠は、7000億ドル(70兆円)、01年同時テロ以降の7年間に対テロ戦争に注いだ8000億ドルに匹敵する規模(p92)
・野村がリーマン買収で払った価格は、アジアが2億2500万ドル、欧州は、2ドル、であった。トレーディング用資産は引き継がない条件。破格の値段で手に入れたのは、リーマン8000人の優秀なスタッフおよび海外顧客網、最新のITネットワークであった。しかし、その後、7000億円の資本増強が必要であった。隠れた買収コストは、高額報酬。主要な幹部をつなぎとめるため、07年と同じ報酬水準を2年間保証した。人件費は買収前比較で1250億円増加(p94)
・2008年9月7日、リーマン破綻後の1週間前の日曜日に、財務長官(ポールソン)は、経営不安に陥った住宅金融公社2社の救済策を発表、公的資金(1900億ドル=19兆円)を注入して政府の管理下におくことにした(p109)
・数式は、サブプライムローンには適用されるべきではなかった、企業の信用リスクに比べて住宅ローンのリスクは複雑。企業向けの信用リスクは、債務不履行のみだが、住宅ローン債権の場合は、利払いの遅延と破綻の2つがある。1種類のリスクを想定した数式を当てはめるのは適当ではない(p114)
・安易な救済とは思われず、GMを守る手立てとして、日本の民事再生法にあたる米連邦破産法11条を使って債務を大幅に減らした後に、政府支援下で債権を目指す荒療治が使われた、GMの問題は、1)事なかれ主義の経営陣、2)過剰投資による債務、3)高い人件費(p130)
・GMを救う準備として、4月末にクライスラーに破産法の適用を申請させた。(p131)
・米政府は、500億ドル(5兆円)の公的資金で、新生GMの6割の株式を握った、GM救済は、1908年創業直後にもあり、このときは当時のデュポンとJPモルガンに救われた(p132)
・GEは2009年の株主への手紙で、リセット、という言葉を使った。金融業界の構造変化、政府役割の拡大、製造業への再評価、金融事業は利益の3割以下とし、13年11月には北米個人向けの金融事業から撤退発表をした(p152)
・ウォール街の投資銀行で独立を維持できたのは、バフェット氏の出資を受けた、ゴールドマンサックスと、三菱UFJが出資した、モルガンスタンレーの2行のみ(p160)
・2008年10月8日には、米欧英、スイス、カナダ、スウェーデンを合わせた6中銀が同時利下げを行った。中国、アラブ首長国も加わったが、日銀は見送ったので急激な円高となった。出遅れた日銀は10月末に緊急利下げに踏み切った(p175)
・2000年から07年にかけて名目GDPは13兆円伸びたが、その半分の6兆円は自動車産業、それでも国内単独決算では、2008年以降、トヨタでも1,4兆円の営業赤字。本田、日産も、0.3兆円程度の赤字(p194)
・バーゼル3という銀行資本規制は2013年から導入が始まっているが、19年に完全適用されると、銀行は普通株と内部留保しか資本に数えられなくなり、投融資が焦げ付く可能性を従来より高く見積もる必要がある(p217)