・国際政治を「劇」とすれば、地政学は「舞台装置」である。劇の裏側でそのシステム全体の構造を決めているのは舞台装置なので、国際政治の表面的な部分だけでなく、その裏にある各国の思惑を理解するには地政学の考え方を身につける必要がある(p3)
・地政学的に、支配するのに最も効率が良く、効果的なのが「道」と「要所」を手に入れることである(p11)地政学とは、簡単にいうと国の地理的な条件を元に、他国との関係性や国際社会での行動を考えるアプローチである。国の行動には、地理的な要素が深く関わっている(p16)
・バランスオブパワーとは、勢力均衡のこと、突出した強国を作らず、勢力を同等にして秩序を保つというメカニズムである。冷戦時代はアメリカとソ連が敵対し、3位の日本と協力した。1980年代のアメリカは日本と敵対して、中国と協力した。現在(2010年代)は、アメリカと中国は敵対しているので、日本と協力している(p19)
・世界の主要なチョークポイントは、イギリス海峡・ジブラルタル海峡・ボスポラス海峡・スエズ運河・ホルムズ海峡・バブエルマンデラ海峡・喜望岬・マラッカ海峡・パナマ運河・マゼラン海峡である(p21)
・アメリカ軍の代表的な海外拠点は、横須賀基地(修理設備のある海軍基地)・沖縄基地(世界の主要都市が射程に入る)・ディエゴガルシア基地(中東に影響力あり)・ラムシュタイン基地(ドイツにある欧州最大の空軍基地)(’p27)
・日本の歴史を地政学で見ると、江戸時代までは海外との衝突がほとんどなく(3回:663白村江の戦い、1274〜:元寇、1592〜:朝鮮出兵)内向きのランドパワーの国であった。(p33)
・北方領土が返されない理由として、2000年頃に開発された北極海ルートがある、これを他国から守るには地理的に北方領土が盾になる(p37)
・米軍の意義としては、石油ルートの保護がある。ほとんどがホルムズ・マラッカ海峡を経て日本にくる。これを守っているのが米海軍である(p52)
・中国の一帯一路構想に対応して、アメリカ・オーストラリア・日本のシーパワー国家が中心となりインフラ開発をする「ブルー・ドット・ネットワーク」が提唱、また「自由で開かれたインド太平洋構想」とは、日本・オーストラリア・インド・ハワイの4カ国でインド洋・太平洋における貿易ルートや国際法を守るために提唱された構想である(p67)
・ロシアは2014年にウクライナの一部であるクリミアを併合し黒海ルートを確保したが、この理由として、1)ロシア軍圧力の中、クリミアでロシアへの編入をめぐる国民投票が行われて、併合が決定。クリミアにはセヴァストポリ港(軍港)があり黒海ルート防衛には欠かせない拠点であった、2)NATO勢力との緩衝地帯にしておきたい(p85)
・ロシアにとって、黒海・北極海ルート以外について、シベリア・ウラジオストクルートは北方領土をめぐり日本と小競り合い、インド・アフガニスタンルートはアフガニスタンから撤退して現在は通行不可、バルト海ルートは海軍基地(クロンシュタット)がありロシアにとって安全、欧州陸ルートは現在は通行不可である(p91)
・コロナウィルス収束直後は、国内で経済を大きく回せる中国(ランドパワー)が台頭、しかし5−10年後にはシーパワーが復活し中国は失速する(p113)