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世界「新」経済戦争 なぜ自動車の覇権争いを知れば未来がわかるのか

世界「新」経済戦争 なぜ自動車の覇権争いを知れば未来がわかるのかの写真

・これまでの自動車はいわゆる「擦り合わせ」という職人技で出来ていたが、電気自動車はもっと単純に「組み合わせ」でできる。これまでの古今の技術者が情熱をかけてきたのは、エンジンという心臓部だったが、そもそも電気自動車にはその心臓部がない(p4)

・1900年のアメリカ、4192台生産された自動車のうち、蒸気自動車と電気自動車がそれぞれ40%で、20%がガソリン車であり欧州同様にガソリン車は少数派だった、その電気自動車が急速に衰退するのが、1910年、走行距離が短かったことと、ガソリン車の進歩によりエンジン点火が容易になったこと、決定的なのは値段が画期的に下がったこと。1912年には、電気自動車1750ドルに対して、ガソリン車650ドル(p33)

・1950年代のアメリカンドリームの図は半分しか真実ではない、当時のアメリカには常に人種問題が黒い影を落としていた、アメリカ人の豊かな生活は彼らの犠牲の上に成り立っていた(p37)

・アメリカのフォードとGMは日本の自動車市場を席巻し、1924年にはフォード社が設立されて翌年より組み立て生産が始まった、GMも1927年から創業、震災から10年後の1933年(日産の創業、トヨタ自動車部設置)には日本の自動車の保有台数は10万台を越したが、日本の国産車は技術的にも価格的にも完全に競争力を失った(p42)

・日本はGHQの占領下において乗用車を作ることは禁じられ、トラックの製造だけがかろうじて認められた(p47)

・日本もドイツも敗戦国だが、日本の政府はちゃんと存在しポツダム宣言の条項を呑んで降伏した、それに基づき連合国と平和条約を締結、ソ連や韓国とは別途、日ソ共同宣言、日韓基本条約及び日韓請求権協定を結んだ。しかしドイツはヒトラーの遺言でドイツ帝国の大統領に就任したカール元帥は無条件降伏に調印したのちに連合国に逮捕された、平和条約を結ぶ機会も資格も与えられず無政府状態のまま、米英仏ソの連合4カ国に占領された(p81)

・鳴り物入りで始まった、ダイムラー・ベンツ社とクライスラーの合併は不成功に終わり、2007年に解消された。メルセデスはこの失敗でブランドにもかなりの傷をつけた。その後に同社の社名は、ダイムラー・ベンツ社に戻り、さらに、ダイムラー社に変わった。この決定に際して、ベンツの故郷バーデン地方で抵抗があったので、社名をダイムラー社にする代わりに、車のブランド名を「メルセデス・ベンツ」に統一する折り合いをつけた(p85)

・欧州車のディーゼル不正ソフト事件は、フォルクスワーゲンに始まり、アウディ、ポルシェ、ダイムラーも皆、ディーゼル車からの撤退が避けられなくなった、だからと言ってガソリン車に戻ることもできない、ディーゼル車はガソリン車よりもCO2排出量が少ないということで開発されたものだったから(p97)

・2019年1月から、シュトゥットガルトの市内全域で排気ガスレベルの1−4クラスのでイーゼル車が、まさかの走行禁止となった。その他の地域でも、ハンブルクやデュッセルドルフなど、部分的とはいえ、ディーゼル車の走行が禁止される自治体はどんどん増えている(p101)

・2019年9月のフランクフルトの国際モーターショーでは、自動車業界の巨大な地殻変動が起こっていることを明らかにした。前回の2017年比較で、展示面積が突然半分以下となり、各社は電気自動車を前面に出したが、それが盛り上がらなかった。ドイツ自動車業界にとって電気自動車へのシフトは、これまでの長い車作りの業績とプライドが指の間からこぼれ落ちるように失われていく悲哀の道とも言えるから(p116)

・電気自動車は次世代の産業である、そこには再生可能エネルギー、IT、人工知能など様々な先端技術も複合的に関与する、この時勢に乗り遅れないためにどこの政府も伸び悩む電気自動車の背中を巨額な補助金で押そうとしている。しかしドイツにおいて登録されている乗用車における電気自動車のシェアはまだ、0.1%に満たない。中国やノルウェー、スエーデンで電気自動車が急速に伸びたのも補助金のおかげ、それが外れると販売台数は落ちた(p133)

・2009年にサウジアラビアのヤマ二元石油相のコメント、「原油はまだ地下に眠っているし、コストをかけて新技術を使えば採掘できる。時代は技術で変わる。石器時代は石が無くなったから終わったのではない、石器に変わる新しい技術が生まれたから終わった、石油も同じだ」2019年、国際エネルギー機関は、電気自動車への以降に伴い、乗用車の石油利用は2020年代末にはピークを迎えると予測した。オイルまねーで潤っていた国々(中東)の終焉は近い(p138)

・コバルトの使用量はスマホが5-10グラム、タブレットが30グラム、ノートパソコンが100グラムに対して、電気自動車は10キロであり桁違いである。コバルト年間生産量は、十数万トンだが、2030年の需要量は電気自動車のリチウムイオンバッテリーの原料だけでも約30万トンと予測される、現在コバルトを使わない電池の開発が行われている(p149)

・ドイツメーカーが皆、浮き足立つように電気自動車にシフトしているのは、地球温暖化防止というためよりも、まずは中国市場に居残れるかどうか(2019年より電気自動車の生産割り当て制度が始まった、中国での生産台数・輸入台数の10%が電気自動車、2020年には12%)という死活問題に、猛烈な勢いで取り組まざるを得ない結果と考えた方がわかりやすい(p169)

・2019年5月にはFCAとルノーとの合併騒動もあったが破綻して、FCA(フィアット、クライスラー、オートモービルズ)とPSAグループ(プジョー、シトロエン、DS、オペル、ボクスホール)との合併が成立した(p184)

・特に若い人たちの間では、ものを所有することの価値が失われつつある、ファッションレンタル(毎月定額で好きな服を借りれる)、カーシェアリングも同じで、自動車メーカが良い自動車を作り、それをブランド力で売る時代はまもなく終わりを告げるかもしれない、ディーラーさえ不要になる(p213)

・CHAdeMOという電気自動車の急速充電システムの商標名であるが、2010年に電気自動車普及にかかわる業界が一丸となって協議会を作り、世界中にこの充電システムを普及させて取り組んできた。直流の充電方式なので、世界の異なった交流電圧の下でも難なく利用できる特徴がある(p235)ついに2014年、国際標準として承認された(p237)

・2019年の後半、突然ドイツ全土で時速130キロの速度制限を導入しようという声が出た、何度も却下された案件であるが、かなり現実味を帯びてきている。もしドイツが130キロ制限となれば、電気自動車の最大の問題は氷解する、走行距離が短すぎるという文句も自然に消えるだろう、すると、ポルシェやダイムラーBMWを買おうとする人もいなくなる活もしれない、どっちに転んでも自動車メーカにとっては悲しい話である。ドイツの自動車メーカを救えるのは、もうこの時速制限しかないところまで来ている(p244)