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summary

なぜヒトだけが老いるのか (講談社現代新書)

なぜヒトだけが老いるのか (講談社現代新書)の写真

・集団(社会)の中で進化したヒトは特に死への恐怖が強く、これは他人を思いやることができる「共感力」によるものです、共感力は人と人との絆を強め、社会を強固にしています。自分が死んだ時の周りの悲しみを想像すると辛く、死への恐怖はなおさら強くなります(p5)

・ヒトと他の生き物とので違うところは「自分の存在を客観視できること」である、そのため他人と比べて上手く行かないと悩むし、辛いことがあると苦しむ(p18)

・ヒトとチンパンジーは最近(6000万年前)に共通の祖先から別れて、その時間をかけて1.5%の遺伝子の違いが生じた(p20)

・RNAには遺伝子の基となる3つの性質がある、1)自身を複製して子孫に継承する「自己複製能」、2)変化すること、3)壊れやすい(p24)RNAが最初にできた物質で、主体的に細胞を動かしているのはRNA、DNAはただのストックセンター(情報の貯蔵庫)であった、DNAのほうがRNAのコピーであった(p35)

・なぜ死ぬか、ではなく死ぬものだけが進化できて、今存在している、老化は死に向かう過程であり、老化とは、複製するよりも分解が起こりやすくなった状態である(p39)

・コロナによる死者は、2021年には1万5000人となり、死因全体の1%程度で、死亡者の平均年齢は82歳であった(p42)

・ヒトの細胞の中で一番数が多い血液の細胞は、約4ヶ月で新しい細胞と入れ替わる、造血幹細胞という骨髄にある細胞が常に新しい細胞を作っている、寿命が長く、なかなか入れ替わらない細胞は骨の細胞で、約4年周期である。つまり大体4年で体の細胞はほぼ新しく入れ替わると考えて良い(p74)

・ヒトの老化の原因は、1)新しい細胞の供給能力の低下、つまり幹細胞の老化の影響が大きい、2)細胞が入れ替わらない臓器(脳、心臓)の細胞の老化である(p75)心臓の細胞(心筋)は大きく太くなることはあっても、新しいものと入れ替わることはありません。心筋症、心筋梗塞で心臓の細胞が減ると、心臓が上手く機能しなくなる=心不全となる(p76)

・本来の生物学的なヒトの寿命は、50−60歳である、その根拠として、1)ゴリラやチンパンジーの寿命からの推定、2)哺乳動物の総心拍数は一生でほぼ「20億回」これによると、50歳前後となる、3)55歳くらいから癌で亡くなる人数が急増する、野生の哺乳動物で癌で死ぬものがほとんどいない(p81)

・進化の過程から確かにヒトの体毛のほとんどは退化して捨てられたが、今でも残っている毛には、現在でも必要性があって残っている、具体的には「わき」「性器」の周りの毛である。共通点は、ともに縮毛であること、青春期から生え始めることである。縮れた毛は摩擦を減らす、脇毛は腕を動かしやすくする、性器の周りの毛は、その保護や性交時の摩擦を減らす役割がある(p103)

・体力だけでなく、知識・技術・経験や集団をまとめる力が、社会を安定化し子供を増やし教育する重要な要素になってきた、その役割を「おじいちゃん」「おばあちゃん」が担ってきた(p106)

・なぜヒトだけが老いるのか、ではなく、老いた人がいる社会が選択されて生き残った(p118)

・子供がいなくても会社勤めをしている時には基本的には規則正しい生活が送れます、規則正しい生活は、ホルモンバランスを整えて、長寿遺伝子の働きを活発にしてくれる(p164)

・1990年には50歳時未婚率は、男女とも5%程度であったが、2020年には男:28%、女:18%となった、男女で1.6倍ほど未婚率が違う理由は、男性が複数回結婚する人が多いということである(p169)

・シニアになってきたら、新しいことを取り込むインプットも必要だが、これまでの蓄積を吐き出すアウトプットの方を多くしていくべき。チャットGPTのような対話型AIの返答とは違う、人から人にしか伝えられない、ある種の本能を揺さぶるフェロモン的な効果があるように思われる(p202)

・VR技術(メタバース)で良いなと思ったのは、1)居場所の創出、2)バリアフリー(年齢、性別、国別、社会的な立場も関係ない)で人と関わることも可能である(p205)

・なぜヒトだけが老いるのか、それは死を意識し公共を意識するためである、死は何のためにあるか、それは進化のためです。進化は何のためにあるのか、そレは私たちも含めた地球上のすべての生き物の存在理由である(p218)

・老いを感じたら、少しずつ自分のために使っていた時間を社会のため、次世代のために使うのは、それまで楽しく生きてきた人ほど、幸せに感じられることである、シニアの活躍がヒトの寿命を延ばしてきた(p221)

2023年8月3日読了