・年金の本質、1)年金は貯蓄(将来のために自分で蓄える)ではなく保険(将来の不幸のためにみんなで備える)である(p30)収入に占める年金が100%という世帯は、48.4%である(p36)、2)自助でも公助でもなく、共助(=社会全体で面倒を見る)である(p38)、3)年金は将来のモノやサービスに対する請求権である(p46)
・年金生活者が関心があるのは金銭ではなく、消費(食料、娯楽、医療サービスなど)であり、いかに将来の生産物を手に入れることができるか、ということが最重要である、それには賦課方式で運営する方法以外にはない(p49)現役で働いている人の給料からその一定割合を保険料として、納めてもらい、その保険料を年金として支給する仕組み。年金支給額は賃金、物価にスライドする仕組みだが、これは賦課方式だからできる(p51)
・年金は一般会計とは別の勘定で、戦前からあったいくつかの保険事業(厚生年金関連4つ、国民年金関連2つ)を、平成19年(2007)に統合してできた、年金特別会計であり、令和元年末で約190兆円の貯金があり、赤字ではない(p56)これは年金給付の4.9年分になる、アメリカで3年分。欧州においてはほとんどない。しかし現役世代が払い込む保険料を年金給付の原資にしているので年金は支払われている(p61)
・国立がん研究センターのデータによれば、40歳の人が向こう20年間に罹患する確率は6.9%、70歳の人が10年間で31.7%、80歳の人がそこから罹患する割合は56.6%、現実には二人に一人が「がん」になるというのは、80歳以上の人の話である(p64)
・世代間の給付と負担の関係では、1955年生まれでは厚生年金では3.4倍(負担より支給が多い)、国民年金では2.3倍、1975年生まれでは、2.4倍、1.5倍である(p65)ここで負担額とは自分が負担する額であるが、番組などでは国や会社が負担する保険料(折半である)も含まれている可能性もある(p69)
・公的年金制度がなかった時代は、子供が親の面倒を見るという「私的扶養」の時代であった、国民全員が加入する国民年金制度ができたのは1961年である。現在の70歳以上の人たちは親を養いながら、かつ年金保険料を払っていた(p67)
・年金の運用(GPIF)は過去20年間で100兆円余りの利益をあげている、マイナスの年もある(p80)
・サラリーマンの配偶者も配偶者が払っている保険料で将来年金を受けられるので、未納にはならない。日本人で年金保険料を納める必要のある9割は、未納になることはない(p91)公的年金加入者全体の6759万人のうち、免除・猶予者(583万人)を差し引くと、125万人となり本当の未納者は、1.85%となる(p94)
・1970年当時から考えると少子高齢化はかなり進んでいるものの、その間、さまざまな制度の見直しを行なってきたことでそうした時代に十分耐えられるような改革が行われてきている(p108)
・将来支給される予定の年金が予定されていない場合、それを年金債務と呼ぶのは積立方式の場合である、企業年金は積立方式で運営されているので企業年金には債務が発生するが、公的年金は賦課方式なので異なる。現在と将来の受給者への給付=現在の保険料収入+今後の保険料収入+国庫負担+年金積立金、となる(p124)企業年金は給料の後払いであるのに対して、公的年金は社会保障制度である(p125)
・GPIFの長期的な運用目標は「名目賃金上昇率+1.7%(スプレッド)」過去10年間の名目運用利回りは、平均で3,61%、名目賃金上昇率は0.44%なので、実質運用利回り=スプレッドは3.17%である。これは厚生労働大臣がGPIFに達成しなさいと要請しているスプレッド(1,7%)よりも大きい(p133)
・厚生年金の定額部分の支給開始年齢を60歳から65歳までに2001年から徐々に引き上げていくと決まったのは1994年であるが、この検討自体は1980年頃から始まっている。2004年改正により確定給付から確定拠出に変わったので、5年ごとに行われていた保険料の見直し(=財政再計算)ではなく、年金の財政が当初の予定通りになっているかを検証する「財政検証」となった(p139)
・2004年改正のポイントは、1)基礎年金の国庫負担を2分の1に引き上げ、2)財政検証の実施、3)保険料水準固定方式の導入である(p140)2005年4月から毎年280円ずつ引き上げられ、2017年以降は16900円と固定する、それ以来は引き上げられていないし予定もない(p141)固定したので、マクロ経済スライドの導入と、年金積立金の活用が行われる様になった(p141)
・積立金は概ね100年をかけて、現在ある4.9年分の積み立てを、100年後には支出の1年分となるような給付水準調整を行なった上で、概ね100年にわたる財政見通しを作成したことになる(p146)
・アメリカの映画(シッコ、2007年)は、自助努力と市場万能主義が行き着くところの社会が描き出されている(p160)
・雇用者のうち正規採用で働いている人が、3539万人に対して、パートや非正規雇用の人が、2090万人いる。この中で厚生年金に入っていない人が、1050万人いて、これが非常に大城は経済的不安となる(p176)
・現在は、1)週労働20時間以上、2)月額賃金8.8万円以上、3)勤務期間1年以上の見込み、4)学生でない、5)従業員500人超の企業などに、対しては厚生年金の加入が義務付けられている。今回は、3)と5)が法改正された、3)は撤廃され、5)は2022年10月からは100人超、2024年10月からは、50人超に引き下げられる、50人超になれば、現在より65万人が増える見込みとなる(p179)
・年金の支給開始時期を引き上げるのは短期間ではできない、55歳から60歳への引き上げに要した期間は20年、60歳から65歳への引き上げは決定してから32年経過するが、まだ終わっていない(p193)
・年金受給開始時期を決めるのは、損得ではなく自分のライフプランをどうすべきかで考えるべきである(p196)