・源氏物語は、たった一作で「物語」を抜け出し、ジャンル全体の歴史を塗り替えた記念碑的な作品である、その理由は、それまでになかった「リアリズム」、現実の事柄を記す書き方(p15)
・物語で作者が残っている源氏物語は驚くべきこと、理由は、格の低さと、語られるというあり方(原作が変えられることを前提としている)による(p16)
・人は死んでからスーパーパワーを持つもので、生きている間は恨みを貯めるだけというのが当時の考え方(p48)
・天皇の子で有能でも実力者の後見がなければ皇位を次ぐことができないというのが平安時代の政治、母の実家の勢力が強く、他の貴族たちの賛同を得て国の政治ができることがポイント(p50、183)
・紫式部が一番愛情をもって書いている女性は、若紫(紫の上)、彼女は命をかけて光源氏を脱俗と出家に導く存在であった(p59)
・光源氏を引き立てるライバルとして「頭中将」「髭黒の大将」や光源氏の息子である「夕霧」(p63)
・当時の結婚は「通い婚」であると言われているが、最初はそうであったがやがて一軒の家を構えた(正妻との場合のみ)(p69)
・光源氏という発想の根源になったのは宇多天皇、清和天皇の子である陽成天皇が不祥事を起こして退位したとき、光孝天皇が後を継いだが、自分に野心がないことを示すために息子を全員源氏姓にしたのが始まり(p84)
・物語でもない歌でもない、全く新しいジャンル(エッセイ)=枕草子を書いた清少納言と、紫式部ばほとんど同じ時期に現れたのは奇跡に近い(p109)
・光源氏の給料を平成3年物価に換算すると、年収4億円、天皇はその倍額、その代わり下級役人の給料は安い(p120)
・国家公務員は厳密に30の身分に分かれていた、そのうち5位以上の人びとを貴族と呼んだ、なかでも頂点に立って政治を執るのが、大臣・納言等の30人程度の公卿、公卿の子には優遇制度があって多くは世襲であった(p124)
・高貴の人の顔は似せ絵にしないというのが暗黙の了解、身分の低い人はリアルに描かれていた(p127)
・恋文こそが、女性をものにするために男ができる唯一の手段であった、貴重な紙に筆で思いの丈の歌を書いて香を文に焚きしめる、文を開いた姫君は、その歌・書・香で、男のセンスを測る(p133)
・皇族は、摂政・関白・大臣のような政治を動かすような役職に就けないことになっていた(p142)
・源氏物語は世界一のロングセラー小説であると同時に、世界最大のベストセラー、源氏物語があこがれの書であったことは徒然草(鎌倉時代)や室町時代の能からも分かる(p159)
・源氏物語に書かれているのが、天皇家や摂関家といった公家文化の頂点の記録であった、1159年の平治の乱で京都で市街戦が展開、その後の地震や遷都により平安京の面影はなくなっていった(p171)
2010/10/31作成