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summary

感染症と文明 共生への道 (岩波新書 新赤版1314)

感染症と文明 共生への道 (岩波新書 新赤版1314)の写真

・フェロー諸島の流行においては、最終的に約6900人が感染し、流行が約60日で終息したが、感染している人の割合は、流行のどの時点をとっても全人口の13を超えることは無かった(p4)

・1951年のグリーンランドでの麻疹の流行を最後に、人口動態に影響を与えるほどの大規模な麻疹の流行は地上から姿を消した、航空機の発達によりすべての人が集団としての免疫を獲得したから(p7)

・麻疹が社会に定着するためには、最低でも数十万人規模の人口が必要、それ以下では単発的なものにとどまり、恒常的に流行しない(p8)

・アフリカ・トリパノソーマ症が存在しなかったとすれば、食物連鎖の最上位に位置した初期人類は、草原を蹂躙して、大型野生動物をすべて絶滅に追いやった可能性がある(p22)

・有史以前の人口は、土地の人口支持力から逆算することで推定可能、新人類が出アフリカをあたした当時(5~7万年程度前)の人口は100万人程度で、そのうちの一部(多くて2000人)が世界へ広がっていった(p30)

・野生動物の家畜化は人間社会を変えた、1)家畜の糞はよい肥料、2)耕作可能面積を広げた、3)余剰作物の貯蔵庫として機能した(p31)

・イースター島は、西暦500年ころは巨大椰子(ヤシ)がなる緑豊かな島だったが、遅くとも10世紀から始まった石造り像は17世紀に突然終わりを告げた、森林抜粋による環境破壊が原因(p33)

・野生動物の家畜化により、動物に起源をもつウイルス感染症を人社会に持ち込んだ、麻疹は犬、インフルエンザはアヒル、百日咳は豚や犬、天然痘は牛(p35)

・メソポタミア文明が誕生したのは、この地が、麦(農耕)と羊(家畜化)の原産地だったことを関連している、肥沃な土地を巡ってシュメール、バビロニア、ヒッタイト、アッシリア、ペルシ興亡を繰り返した(p44)

・揚子江流域の開発が黄河よりも1000年ほど遅れたのは、風土病の存在による(p47)

・インドのカースト制度の起源に、浄不浄によって社会の構成員の交流を管理し、感染症流行を回避しようとした意図があったという説もある(p51)

・東ローマ帝国皇帝のユスティニアヌス(527-565)は古代ローマ帝国の復活を夢いていたが、ペストの大流行に打ち破られた、西暦0年に3300万人だった地中海ヨーロッパの人口は、600年間で1800人にまで減少した(p58)

・ペストが姿を消した理由として、中世の温暖期(800-1300)が関係しているが、その後の小氷期においては再び流行が繰り返された(p61)

・ペストが欧州社会に与えた影響として、1)労働力の減少による賃金上昇、荘園制の崩壊、2)教会の権威失墜、その代りに国家が台頭、3)既存の制度では登用されない人材の登用による身分制度の解体、である(p67)

・ハイチのタイノ・アラクワ族の絶滅は奴隷貿易の開始を告げた、ハイチに暮らすすべての黒人は20年ですべてが入れ替わった(p84)

・インカ帝国がスペインの攻撃を受けた時、疾病が神の怒りであると両者とも信じていた、天然痘・麻疹・発疹チフスに倒れなかったスペイン人は、一方的に神の恩寵を受けているという事実に慄いて争うことができなかった(p86)

・世界で消費される農作物の80%は、わずか数十種類の植物から供給されている、穀類(小麦、米、大麦、トウモロコシ等)、豆類(大豆など)、根菜類(ジャガイモ、キャッサバ、サツマイモなど)である(p88)

・キニーネによるマラリアの克服が、ヨーロッパにおけるアフリカ植民地化の完成を後押した(p102)

・14世紀後半には西アフリカの大帝国(マリ)を統治していたイスラム帝国が、南アフリカを征服できなかった理由として、疾病(眠り病)の存在がある(p104)

・初期のノーベル生理学・医学賞受賞者を見ると、熱帯地域の医療に関するものが多い(p109)

・第一次世界大戦末期の1918~19年にかけて流行したスペイン風邪は世界で1億人ともいわれる被害であるが、最も大きな被害を受けたのはアフリカやインド、中国(238、1850、400~950万人)であった(p117)

・スペイン風邪の被害をさらに悪化させたのは、植民地からの収奪であった、インドでは穀物生産量が5分の1であったが、輸出はイギリスへされた(p121)

・第二次世界大戦は、感染症による死亡者数が、銃弾による戦死者を下回った初めての戦争であった、第二次世界大戦のアメリカで、ペニシリン大量生産の取り組みはマンハッタン計画と並ぶ国家プロジェクト(p126)

・1979年に二年間の監視期間をおいてから、WHOは天然痘の根絶を宣言した、農耕開始から1万1000年の快挙(p141)

・HIVエイズは発症率は90%を超えて、1度発症すると致死率は95%であり、治療をしない場合、感染から平均10年でエイズ発症ののち、数年で死亡するが、潜伏期間が長くなったら共存も可能かも(p183)

・ミシシッピ川は春になると氾濫するので、アメリカ陸軍工兵隊は堤防を築き始めて、川の封じ込めに乗り出したので洪水は止んだ、しかし、川底には年々沈泥が蓄積するので、堤防もそれにつれて高くなっていて現在も嵩上げは続いている(p193)