・1979年までのアメリカは、所得階層の低いほど所得伸び率の高い社会であったが、1980年以降に変質し、最上位20%までが賃金上昇を実感できるようになった(p19)
・アメリカの巨大企業には、本当に業態転換に成功した企業は少ない、つねに新製品の総売上に対する比率を3割にするという社是を貫いている3Mは別格、あとはGE程度か(p26)
・日本の大企業に業態転換での成功例が多いという事実は、経営者と一般勤労者との報酬格差の少なさが貢献しているはず(p26)
・アメリカの産業界が勤労者のクビを切って労働生産性を上げるという手を、1980年代末を境に、中堅企業までもするようになった(p29)
・アメリカの失業率は2009年には10%を超えたが、2010年には9.4%と下がった、職探しに絶望して就職活動をやめた失業者が労働力人口から外れた「無業者」となり失業率のカウントから外れたため(p34)
・アメリカの復権が「見かけ倒し」なのは、就業人口の6%程度を占めるに過ぎない金融業が、全企業利益の3分の1を稼ぎ出すようになった1980年代以降に貧富の格差が増大したこと(p41)
・アメリカ金融業界が高額報酬を出し続けられるのは、「俺の儲けは俺のもの、俺の損は国民の税金で穴埋め可能」とシステムが確立されているから(p51)
・ベンチャーキャピタルの残高が急激に伸びたヨーロッパから画期的な技術や製品が登場したのか、儲けたのはベンチャーキャピタルのマネジメント会社のみ(p54)
・リーマンショックでつぶれるはずのAIGが生き延びて、潰れなくてもよさそうなリーマンがつぶれたのは、AIGから多額の配当金をもらわないと(今までの掛け金が水の泡になって)、アメリカ中の投資銀行がつぶれるから(p58)
・アイルランドが最も危機が切迫しているのは、銀行負債のみでGDPの4倍もあり、2位のポルトガルの80%とは格段の差だから(p60)
・ビジネススクールでは現場の問題を見ずに数字だけを見て経営すべきと教えたので、ビジネススクール出身者を雇用した大企業ほど、業績が不振になるという結果となった(p99)
・負債依存率の高い会社は、景気の良い時は収益が早く成長するが、営業利益に対する金利負担比率が高まるほど景気が悪くなると、破たんが早まる(p108)
・米国の工作機械の大手であった「バーグマスター」は日本の工作機械メーカの不公正な貿易慣行であるとバッシングをしたが、レーガン大統領裁定で「シロ」と判断された翌1984年に消滅して、アメリカ工作機械業界の没落が決定した(p111)
・基幹企業のほとんどが独占となっているアメリカで、重要産業にもかかわらず首位企業の独占状態になっていない産業は、石油と金融であるので、海外からの挑戦にも耐えて更には世界中に進出できている(p125、129)
・日本の消費者大衆は、たった1つの産業分野においても、ガリバー型寡占企業が出現して事実上の独占市場を形成することを許さなかった(p144)
・日本の造船業界で大型化が必要だった理由は、輸送距離が長い国々との貿易が必要だったから(p155)
・2009年4月までは、日本企業が海外で稼いだお金を日本に持ち帰ろうとすると、高率税がかかっていたが、今では海外子会社からの配当は95%非課税になり、3.2兆円の利益のうち、3.1兆円が還流した、その使途としては44%分を国内での開発、設備投資に回される予定(p158)
・資産デフレは、「持てる者から持たざる者への富の移転」に貢献する、物を持っている人は、持っているモノの価格が下がるし、持っていない人は、これから買わなければならないものの値段が下がるから(p171)
・アメリカの大恐慌は、1929~32年の3年間で生産量を4分の1に絞った、フォードやクライスラーは後でつぶされることを恐れてこの方針に従った、これで経済全体が縮小再生産となった(p174)
・高収益を続けている企業には2つのパターンのみ、1)他社には作れないモノ、サービスを考究している、2)独占により高価格を維持(p180)
・横綱は二人以上いるのが普通の日本と、チャンピオンは絶対に一人でなければならない欧米との文化圏の違いがある(p183)
・マネジメントにとって最も大事な機能は、変化の足を引っ張らないことで、変革の陣頭指揮をとることではない、製品ばかりか経営陣の知的能力も軽量化した、ここに日本企業の強みがある(p189)
・1979年に、一人当たりのエネルギー生産量はピークに達して、それ以来変わっていない、つまり全く異なった世の中になった(p190)
・円の価値が4.7倍以上になっているにも拘らず、貿易収支の黒字が維持できている理由の一端は、1ドルのGNPを生み出すのに必要なエネルギー投入量が、1969年レベルの15%だから(p194)
・今までの日本の輸出は欧米中東を相手とする遠距離貿易であったが、これからアジアが中心となるので輸送距離が短くなり、かなり有利になる(p208)
・労働生産性という指標は、粗悪品を、その割には高い値段で売ってぼろ儲けしても高い評価が出てきてしまう概念(p212)
・三井物産が戦時中に伸びたのは、貿易相手国の言葉を自分たちが学ばなければならないと考えていたから、欧州はそのような考え方を持たない(p215)
・フォードは、工員は工場に来るための両足と、作業をするための両手さえあれば良いのに、なぜ頭なんてあるのかと嘆いた、工場というのは一握りのエリートが考え、大衆はその命令通りに作業するだけの場所であった(p223)
・GMの経営陣は、工場長と平工員まで差別なく業務改善できる工場運営でNUMMI工場で成功したことを確認したが、自社工場に水平展開することを拒んだ、平等という概念が受け入れられなかった(p224)
・日本の付加価値の高いものを輸出するという戦略は、聡明な経済学者やマネジメントが考えたものではない、無数の生産現場、営業現場から本能的な選択が寄り集まった結果である(p234)