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summary

原油暴落で変わる世界

原油暴落で変わる世界の写真

・日本の鉱物性燃料輸入額は年間28兆円(2014)にも上るので、エネルギー価格が1割下がれば、消費税率1%以上の所得が海外から帰ってくる計算になる(p18)

・原油安によりシェール業界に関する信用リスクが高まった矢先の2015年1月上旬に小規模なシェール企業が破綻したが、その後の連鎖倒産は起きていない(p25)

・シェール投資の限界費用とされる1バレル20ドルに原油価格が近づけば、生産作業の稼働、停止が容易な企業が生産をとりやめる、トータルの生産コストの下限は50ドルである(p31)

・原油の可採埋蔵量は、1972年の約40年間で、4倍に拡大した。1972年には可採埋蔵量は2兆バレル(生産済は1兆)だが、7.77兆バレルに増加した(p35)

・米国の原油可採埋蔵量は2013年末で、前年比9%増加の365億バレルとなり、1975年以来最も大きな数字となった。サウジアラビアは2660億バレル(p41)

・米国の2014年11月の原油輸出は34%増加して、月量平均50万バレルと、1920年以降で最高(前回ピークは1957年3月の45万バレル)となり、世界17位の原油輸出国となった(p43)

・1861年に日量3000バレルの生産が可能な自噴油井が実現して、1バレル20ドルだったのが、1861年末には1ドルを切るようになった(p43)

・在来型は鉱床の発見段階で生産コストが決まってしまうが、シェール生産は形態が資源抽出よりも製造業に近いので、広大な鉱床域で多数の抗井を掘削しながら、最適開発条件に接近するという特徴がある(p48)

・シェール企業は、シェール層がどこにあるかを熟知していて、掘削装置も簡単に調達できる環境にあるので、市場の動静に応じて少しずつ投資を増やせる特徴がある(p49)

・石油価格は同じエネルギー量の石炭価格よりも4-5倍高かったので、世界の第一次エネルギー供給に占める石炭シェアの割合は、2013年に30%に足し、1970年に最高水準に達した石油は14年連続で減少して33%となった(p56)

・石油は他の代替エネルギーがないコアな需要(輸送部門など)を」持っているため、いまだに大幅な需要減になっていないが、いずれくるとされる石油需要のピークがやってくる可能性もある(p57)

・中国の生産者物価指数は、すでに3年近くマイナスであるにも拘わらず、賃金上昇率が毎年2桁台で推移しているので、企業の多くは実質的には赤字になりキャッシュフロー不足が常態化している可能性がある(p64)

・2014年の中国経済の規模は、j購買力平価で166年ぶりに世界一となったが、成長率は前年比7.4%増加と、24年ぶりの低水準であった(p66)

・2014年10月末時点で、シェール企業が発行するジャンク債の総額は2972億ドルで、5年前の約3倍の規模、10年前には4%に過ぎなかった市場全体のシェアが16%にまで急拡大している(p77)

・シェール層の採算ラインは1バレル30-40ドル、最大のバッケン頁岩層では生産全体の8割が42ドル以下、2015年の生産分の一部を1バレル90ドル以上で売り建てていたので、現在の価格水準で買い戻せば、1バレル40ドル以上の儲けがでる(p83)

・シェール企業の抵抗力は意外なほど高い、さらにシェール関連債権総額は5500億ドルと世界の債券市場の規模(100兆ドル)と比較したら微々たるもの(p84)

・シェール企業関連のジャンク債市場はサブプライムローンの場合より小規模だが、CBO,CLOという形で世界中にリスクが分散されている。サブプライム危機の直接の引き金は、破綻したリーマンブラザーズが関連する6000億ドルに上る債権残高のCDS契約をどの金融機関が履行するかが判然としなかったので、当時4400億ドルのCDSを発行していたAIGに支払いが集中した(p86)

・資本が自己増殖する手段を失いつつある現在の状況(債権利回りが1%を切るなど)は、まさに資本主義の終焉である(p97)

・現在のロシアと1998年時点の状況には相違点が多い、1998年に債務不履行を起こし国際金融市場から一度撤退していたロシアには、海外諸国のロシア国債保有は1割強と少ないので前回のようにデフォルトする可能性はまずない(p113)

・ドイツ最大手の電力ガス会社である、エーオン・ルアガスは、長期契約で購入するはずだった天然ガス価格の大幅引き下げを要請した。自由化市場に突如として米国から転売されてきたカタール産などの安いスポット物が出回ってきて売れなくなったから(p124)

・今回の原油価格急落の原因は、現在の国際石油市場にプライスリーダーが存在しないこと、逆オイルショックの真因は、OPECが表面的には価格カルテルを形成しているように見えて、実はそうではない(例として、罰則規定なし)ことにある(p153)

・カナダとメキシコ湾岸を結ぶ新たなパイプラインが稼働し、過去最大容量のカナダ産原油がメキシコ湾岸の製油所に届くようになった。軽質のシェールオイルよりも重質油の精製に適した設備を備えている(p157)

・サウジアラビアの王位継承の資格を持つ第三世代の男子は、数百人に上る。初代国王の孫の世代では、現在、有力な家系が3つある(p164)

・米国は公共交通機関が発達していないため、石油消費の70%が輸送部門、日本では輸送目的と産業用の石油消費が40%ずつ(p180)

・2000年のエネルギー最大輸入国は米国で6.4億トン、二位が日本で4.2億トン、中国は10位、2012年には、米国4.6億、日本4.5億、中国3.7億トンと米国の輸入量が激減している(p182)

・多くのシェールガス田は、ガス産出が始まって3年経過すると産出量が75%減少する。産出量維持のためには次々と新しい井戸を掘り続ける必要がある、ガス井群の3割以上をリプレイスする必要がある(p191)

・2013年10月には、シェルは240億ドルを投じた米国シェール事業が失敗に終わったことを認めた。BPも21億ドルの評価損を計上している(p192)

・人類が使ってきた燃料の水素対炭素の比率は、木材1:10、石炭1:1、石油2:1、天然ガス4:1であり、炭素の比率が低いため、CO2排出量が少なく環境負荷が低い(p216)

・日本の原油の中東依存度は1973年の77%から、1987年には68%まで減少したが、1993年に中国が、2004年にインドネシアが輸入国になり、1998年以降、依存度は80%を超えたまま(p218)

・日本ではあまり知られていないが、中国は「北方領土を日本領」と認めてきた数少ない国である(p249)