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summary

21世紀の資本

21世紀の資本の写真

・資本収益率が産出と所得の成長率を上回るとき、資本主義は自動的に、恣意的で持続不可能な格差を生み出し、それが民主主義社会の基礎となる能力主義的な価値観を大幅に衰退させることになる(p2、29)

・第一の結論:1910-50年にかけて殆どの先進国で生じた格差の低減は、何よりも戦争の結果であり、戦争のショックに対応するため政府が採用した結果である、課税と金融に関する部分が大きい(p23)

・第二の結論:富の分配の力学を見ると、収斂と拡大を交互に進めるような強力なメカニズムがわかる(p23)

・根本的な不等式(r>g、r;資本平均年間収益率で、利潤・配当・利子・賃料などの資本からの収入を資本総価値で割ったもの、g:経済成長率、所得・産出の年間増加率)(p28)

・富裕国で資本の重要性が高まったのは、人口増加と生産性成長がどちらも減速したせいが大きい。この変化を理解するには、資本と労働の分配率だけでなく、資本/所得比率(資本の総ストックと年間の所得フロー比率)の変化も分析することである(p45)

・国民所得を計算するには、GDPからその生産を可能にした資本の減価償却分を差し引く必要あり、これが「国内純生産」となる、GDPの9割程度(p46)

・国民所得=国内算出+外国からの純収入=資本所得+
労働所得、資本から人的資本を除外するのは、人的資本は他人が所有したり市場取引できないものだから(p49)

・所得はフロー、ある期間(通常1年)の間に生産され分配された財の量、資本はストック、ある時点で所有されている富の総額(総資産)、資本はおおむね、住宅資本と企業・政府が使う物的資本に分かれる(p54)

・上場企業の株式市場における総市場価値は、通常はその企業の年間利潤12-15年分、つまり年間投資収益率:6-8%(税弾き前)である。500万ユーロの資本を使い、年間100万ユーロの財を生産、60万を労働者賃金、利潤を40万とする。この会社の資本/所得比率β=5(資本が産出5年分)、資本所得のシェア:αは40%、資本収益率r=8%となる、α=r×β(p59)

・欧米は産業革命で実現したリードにより、世界に占める人口比率の2-3倍の世界算出シェアを実現できた。これは一人当たりの算出が世界平均より2-3倍高かったからで、こんな時代は終わりつつある(p64)

・資本減価償却を1割として考えると、世界では1人当たり平均月額所得@2012は760ユーロとなる、日本は2250ユーロ、EUは2040、米国は3050、中国は520である。(p66)

・為替レートでなく購買力平価を使うのは、各国の市民は通常は所得を外国ではなく自国で使うから(p69)

・外国からの純所得は日本とドイツでGDPの2-3%であるが、数十年に渡り蓄積してきたので、それに対する今日の収益は大きい(p73)

・貧困国が富裕国に追いつくのは、同水準の技術ノウハウや技能・教育を実現するからであって、富裕国の持ち物になることで追いつくことではない。これは正当性のある効率よい政府が実現できるかに密接に関連している(p76)

・1700-2012年で世界の算出は年率平均1.6%で成長したが、そのうち0.8%は人口増加分、残りが一人当たり産出の増加からきている、1700年までは成長率0.1%(ローマ帝国時代も2億人はいたと推定)、1820年までは0.5%、1913年までは1.5%、それ以降が3.0%(p78、82)

・日本が過去30年で見せた一人当たり産出成長率は1-1.5%だが、人々の生活は大きく変化した。一人当たり産出が30年で35-50%増加するとは、今日生産されているもののかなりの部分が30年前には存在せず、仕事の4分の1から3分の1は当時は存在しなかった。つまり、今日の社会は、18世紀のような成長がゼロ、0.1%の社会とはかなり異なる(p101)

・年率3-4%以上の生長が起こった歴史的な事例は、他の国に追いつこうとしていた国で起こったもののみ、追いついた時点で終わるプロセス(p98)

・インフレ(あらゆる価格の一般的増加)は富の分配力学に根本的な役割を果たす、公的負債を富裕国が始末できたのはインフレのおかげ(p109)

・イギリス、フランスは第一次世界大戦直前には、外国に所有していた純資産は、国民所得1年分とかなり大きかったが、1915年に破たんした(p126)

・イギリスとフランスは1880-1914年に構造的な貿易赤字(1-2%)を出せた、外国資産による総収益は5%もあり全く問題なかった。貿易黒字を出していても利益は得られない、モノを所有する利点は、労働なしに消費を続けられること。これが植民地時代に行われていた(p127)

・19世紀に政府に貸し付けた人への報酬が非常に多かった、1815-1914年までインフレゼロに対して、4-5%の国債利率で、経済成長率よりもはるかに高い。とても良い投資である(p137)

・米国への奴隷輸入は1801年に止まったが奴隷の激増は止められなかった、自然増は奴隷購入よりも低コスト。1770年代に40万人だったが、1800年には100万人(総人口500万人)。1860年には400万人(総人口3000万人)。奴隷制廃止は南北戦争後の1865年。北部と西部では急速な人口成長があったが、南部では奴隷比率はずっと40%(白人600、奴隷400@1860)(p166)

・米国南部では、奴隷の総価値は国民所得の2.5-3年分、農地と合わせると4年分以上、奴隷のいなかった北部の富は少なかった、農地は1.5年分程度(p169)

・戦前の米国では、奴隷の市場価値は一般的に、自由労働者の賃金10-12年分に相当した。1860年、男性の奴隷平均価格は2000ドル、自由農園労働者の平均賃金は200ドル。(p171)

・資本/所得比率β=s/g、s:貯蓄率、s:成長率、毎年国民所得の12%を蓄え、国民所得の成長率が年2%の国では、長期的には資本/所得比率は600%になる。この国は、国民所得の6年分に相当する資本を蓄積することになる(p173)

・民間財産は、国民所得の4-7年分となっている、この構造的変化は、1)経済成長の鈍化(人口増加の低迷)、2)民営化と公共財産の民間移転、3)不動産と株式市場の価格に影響した長期的なキャッチアップ現象、で説明できる(p181)

・国民所得や国富については、最貧50%、中間層40%、最富裕10%に分割するべき(p279)

・非常に高い所得と給与の増加が何よりも「スーパー経営者」の出現によるもの(p313)

・長い目で見て賃金を上げて賃金格差を減らす最善の方法は、教育と技能への投資である(p325)

・人口の0.1%が国民所得の2%を占めるという事は、このグループの平均的個人が国平均の20倍の高所得を得ている事になる(p333)

・資本収益率が常に生産(所得)成長率の少なくとも10-20倍大きかったのは避けられない歴史的事実。ただし、1950-2012年までは、例外的にその差が1%程度(5%強と4%弱)にまで縮まった(p369)

・課税後の年間収益率と成長率の比較では、1913-2012年までは例外的に、成長率の方が高かった。富の集中が減ったのは、1914-1945年までの偶発的出来事(戦争)と、資本及び資本から所得への課税といった個別制度がもたらした(p371、391、412)

・どんな貯蓄行動の構造においても、資本収益率が上がり成長率が下がると、累積プロセスが速くなり不平等になる(p415、451)

・インフレの主な影響は、資本の平均収益を減らすことではなく、それを再分配すること。それは、裕福ではない人に不利益、裕福な人に利益になる(p472)

・果てしない格差スパイラルを避けて、蓄積の動学に対するコントロールを再確立するための理想的な手法は、資本に対する世界的な累進課税である(p489)

・2008年の危機が大恐慌ほど深刻な崩壊を引き起こさなかったのは、富裕国の政府・中央銀行が、流動性を作り出すことに合意したから。これは大恐慌の「清算主義」とはかけ離れていた(p491)

・国民所得の4分の1から3分の1を消費していて、これらはほぼ二等分できる。片方は保険医療と教育、残りは代替所得(年金・失業保険)と、移転支払い(家族休符、公的扶助)にいく(p496)

・2010年に米国で可決された外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)で、2015年に順次導入される予定。あらゆる外国銀行は、米国財務省に対して、米国納税者の外国保有銀行口座、投資について報告する必要がある(p547)

・欧州ほど巨大な公的債務を大幅に減らす手法として、1)資本税、2)インフレ、3)緊縮財政であり、この組み合わせもできる。民間資本に対する課税が最も公正で効率的、それがだめならインフレ、最悪なのは緊縮財政を長引かすこと(p568)