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ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学

ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学の写真

・日本のビジネスマンがMBA本やビジネス誌を読んだり、あるいはビジネススクールの教育を通じて知ったりすることのできる「経営学」と、世界の最先端で経営学者が生み出している知見の間には、きわめて大きいギャップがある、のは間違いない事実である、さらに経営の真理法則を科学的に探究する(データ分析を重視する)とことを目的にしている(p3、14、17、18)

・経営学者が、学術的な知見のツール化に熱心でないのは、「ツール化」が学術業績として認められないから。研究によって新しい知を生み出すことが重視されるから(p21、23)

・優れた研究とは、厳密性(経営法則を導き、それを統計分析を通して妥当性の検証)と、新規性である。厳密性、新規性、役に立つ、のトリレンマの関係にある。(p27、29)

・経営学をうまく使っている方々の多くは、答えを期待しているのではなく、経営学の知見を、「思考の軸・ベンチマーク」として使っている、つまり自社で取り入れていることの是非を論理的に確認する(p33図表)

・思考の軸とは、羅針盤である。羅針盤は方角を示すだけで、「どうすれば一番早く安全に目的地に着けるか」は決して教えてくれない。航海ごとに、風向き・風の強さ・潮の動き・天候も違う、つまり会社ごとに事業環境が異なるのと同じ(p37)

・メタ・アナリシスとは、過去の統計分析の結果を、さらに統計的に総括する手法である(p38)

・戦略がうまくいかない理由は、企業の戦略にはそれぞれ通用する範囲がある、という経営学の知識共有がないこと(p43)

・競争戦略の代名詞である「ポジショニング戦略(ライバル比較でどのような製品を提供夷するか)」であるが、差別化戦略と、コストリーダシップ戦略があり、当時に実現するのは難しく、どちらを重視するか、メリハリのあるポジショニングが求められる(p44)

・ポジショニング戦略と対比されるのは、RBVで、ポジショニングよりも、経営資源(技術・人材)にあるというもの、両者は適用範囲が異なるので、比較することは意味がない(p45)

・競争戦略を考えるうえで「三つの競争の型」があり、型ごとに適用できる経営理論が異なる。1)業界構造が安定していて寡占状態にある業界は、ポジショニング戦略が有効。2)差別化しながら競争している業界(チェンバレン型)は、経営資源によるRBV戦略。日本の企業の多くはこの型、3)競争環境の不確実性の高い業界(シュンペーター型)は、リアルオプション戦略(素早く柔軟に対応:小ロット、小規模)があっている(p49、52)

・優れたビジネスモデルの条件は、効率性・補完性・囲い込み・新規性、である、しかしそれらの相関関係を分析すると、1)効率性の高い企業は、企業価値と有意な関係にない。2)補完性と囲い込みは、企業価値と有意な関係にない。3)新規性が高い企業は、企業価値が高い、4)新規性と効率性が両方とも高いと、企業価値は低下する(p59、61)

・弱い結びつきのネットワークのほうが、強い結びつきのネットワークよりも、全体として情報普及の効率が高くなる。弱いつながりの人脈(社外)を多く持つ方が人はクリエイティブになれる(p97図、p99、100)

・日本企業への示唆として、創造性とイノベーションは別のものであると理解したうえで、1)創造性の欠如なのか、創造性→実現の橋渡しの欠如なのかを把握する、2)クリエイティブを高めるためには、弱いつながりを作る、3)弱いつながりを持つ開発者と、強いつながり(社内)を持つ監督者とのペアを組ませる(p105)

・情報の共有化ではなく、組織のメンバーが、「他のメンバーの誰が何を知っているのか」を知っておくこと、お茶飲み場をオフィスの真ん中に置くなどの設計も大事(p113、121)

・長い目で成功確率を上げられるのは、「最初は失敗経験を積み重ねて、それから成功体験を重ねていくパターン」(p141)

・グローバル企業とは、「世界で通用する強味があり、それを生かして世界中でまんべんなく商売ができる」。その視点から主要500社を分析すると、真のグローバル企業は、9社(日本では、ソニーとキャノン)のみ。大半の企業は、ホーム地域への強い依存があった(p149、151)

・重要な事実は、1)世界は殆どグローバル化していない、2)世界は狭くなっていない、3)世界はフラット化していない(p159)

・AAA分析(集積:Agglomeration、適応:Adaption、裁定:Arbitrage)が必要なのは、世界が中途半端なグローバル化しているから。世界が完全に統合されていないから、特定の国を選んで「集積」するメリットがある。国同士に差異があるから各国事情にあわせた「適応」が必要だし、「裁定」もメリットがでる(p172)

・組織に重要な多様性とは、あくまで「タスク型の人材多様性」であり、性別・国籍・年齢などは、組織に何の影響も及ぼさないどころか、マイナスの影響となる(p180)

・6人からなる組織があり、3人が「男性x白人x50代」で、残り3人が「女性xアジアx30代」とすると、それぞれ3人のグループが、三人同志で固まってしまう(p184)

・トランザクティブ型リーダは、「アメとムチ」を重視するが、トランスフォーメーショナル型リーダが重視するのは「啓蒙」。それを構成する4つの資質とは、1)ミッションを掲げ部下の組織へのロイヤリティ高める、2)将来性や魅力を前向きに表現、部下のモチベーションアップ、3)新しい視点を持ち込み、やる気を刺激、4)一人ひとりと個別に向き合う(p205)

・優れたビジョンの持つ6つの特性とは、1)簡潔、2)明快、3)ある程度抽象的、4)チャレンジング、5)未来志向、6)ぶれないこと(p216)

・日本では「養子」のうち、子供の養子はわずか2%、大人の養子は98%(8万件)で、日本特有(p234)

・米国では、法制度的に「事業がたたみやすい」だけでなく、起業家が「キャリアをたたみやすい」社会である。起業に失敗しても、食い扶持に困ることがないという背景がある(p261)

・経営戦略の良し悪しで業績が決まるのは、とびぬけて成功した企業か失敗した企業のみ、普通の企業は「どの産業にいるか」で決まる(p298)

・米国には2013年時点で、2774の四年制大学があるが、研究大学はほんの一部。AAUの団体に選ばれているのは、60。目指している大学もいれて、百数十くらいが研究大学、残りは、教育大学。(p319)

・ビジネススクールで、研究だけではなく、優れた教育を目指している例外が2つあり、バブソン・カレッジ(豊田章男、岡田元也イオン社長の卒業校)と、ハーバード大学(p322)

・MBAとは、職業人として高度な経営の知識を備えた人たちを短期間で養成する過程、PhDは、5-6年をかけて経営学の「研究者」を養成する。ビジネススクールでは最先端の研究成果は学べないが、実務に使う経営学の基礎は徹底して学べる(p345、356)

・勉強は進めば進むほど正解がわかってくるが、研究は全く逆である(p355)