・今日の世界システムはアメリカを中心に回っている、第一次世界大戦までの時代に、イギリスが中心だったのと同じ。100年予測ではアメリカの長期的な強さを論じたが、今回(10年予測)では、アメリカの弱さを書く。この弱さは長い目で見れば問題にならず、時間がその殆どを解決する(p25)
・アメリカは、1970年代に中国に手を差し伸べたように、イランと折り合わなければならない(p30)
・ドイツは、欧州近隣諸国より、ロシアとの方が利害が一致するという結論を出しつつある(p31)
・欧州が臨戦態勢に入る中、連邦議会と国民は中立維持を望んだが、ルーズベルトはフランスへの武器売却、イギリスには商船のアメリカ海軍による護衛を確約し、中立に違反した(p50)
・軍事介入は、勢力均衡が崩れて、同盟国が問題に対処できなくなったときにのみ、最後の手段として使う(p57)
・ローマ共和国が倒れた原因が、クーデターではなく、市民・外国人から帝国の首都にわたった巨額の賄賂であったことに異論の余地は無い。(p61)
・条約、使命、予算、そして正式な宣戦布告には議会の承認が必要だが、軍隊の指揮権は大統領だけにある。(p65)
・アメリカは2001年9月にタリバン拠点を空爆したが、ロシアの支援する反タリバン組織・北部同盟と取引を行ったこと。(p101)
・オスマン帝国は、1453年にコンスタンチノープルを征服し、16世紀にはアレキサンダー大王の手に落ちた領土の殆どを掌握していた。北アフリカ、ギリシア、バルカン半島、地中海東海岸(p134)
・イランは核保有国になる恐れがあり、トルコは強大な地域勢力と化して、イスラエルとの緊密な軟系を改める可能性がある(p162)
・中東における三対の均衡とは、アラブ(シリア・レバノン・エジプト・ヨルダン)対イスラエル、インド対パキスタン、イラン対イラクである(p165)
・トルコはアメリカがどのような行動を取ろうと、今後10年以内にイランに対抗する力を持つ。中東最大の経済国で、ロシア・イギリス以外では、欧州最強であろう(p180)
・ソビエト連邦の崩壊後は、共産主義者がつなぎとめていた広大な帝国が分解し、ロシア政府に残ったのは、帝国の中心部であったモスクワ大公国(とシベリア)だけだった。ロシア連邦は弱体化したが、それでも永らえた(p185)
・ロシアは1世紀以上前から、欧米に比肩する産業大国を目指していたが、プーチンはけっして追いつけないことを悟り、天然資源の開発・探査に重点をおく戦略へ転換した(p188)
・アメリカの河川は、農村地帯と食料の流通拠点となる港を結びつけるが、ロシアの河川は障壁にしかならない。ロシア皇帝、帝政ロシアの鉄道債、スターリンでさえ、この問題は解決できなかった(p197)
・ポーランドには、第二次世界大戦初期にドイツの侵攻を受けた時、イギリスとフランスがドイツからポーランドを守るという約束を反故にしたという暗い影がある(p205)
・ドイツに何が起ころうと、アメリカにとって、バルト海の出口を塞ぐデンマークとの緊密な二国間関係を維持することが重要。ノルウェーも、ノールカップ岬がムルマンスクのロシア艦隊を阻止する拠点になるので意味がある(p208)
・新大陸発見以来、欧州は4つの地域に分かれていた。大西洋ヨーロッパ、スカンジナビア、南東ヨーロッパ、ロシアである(p216)
・1900年当時には、世界に帝国が12個あった、アメリカ・ベルギー・イギリス・デンマーク・オランダ・フランス・ドイツ・イタリア・日本・ポルトガル・ロシア・スペイン(p220)
・EUは二つの目的があった、1)西ヨーロッパを限定的な連合として統合、ドイツとフランスを結びつけることで、ドイツ問題を解消して戦争の危険を軽減する、2)東欧を欧州社会へ呼び込むための器(p225)
・アメリカでは、南北戦争によって、連邦政府が主権を、なかでも外交問題では絶対的主権を持つことが認められた。連邦が勝利したことで、個々の州が主権を有すべきという、脱退した南部連合国の主張は退けられた、EUは連合型モデルが健在(p226)
・NATO会議では、イラク戦争でアメリカ軍を支援するトルコへの防衛支援をアメリカが要請したとき、圧倒的多数の国が黙認したが、ドイツ・フランス・ベルギー・ルクセンブルクが反対した。NATOは全会一致である(p238)
・中国の人口の殆どが東部の沿岸から700キロ以内の地域に集中していると考えると、島のイメージは的を射ている。人口がこれほどまでに集中しているのは、水が手に入りにくいから。380ミリが人口を維持するために必要な最低限の降水量だ(p253)
・日本は原材料を安定確保するために、日本は強大な海軍力を必要とした。アメリカは日本に対する防衛手段として、海軍力を拡充することで日本の安全保障を脅かしていた。この相互威嚇の帰結が太平洋戦争であった(p255)
・中国には世帯年収1000ドル未満の人口が6億人、一家族が一日3ドル未満で暮らしている計算となる。さらに4.4億人が2000ドル未満。中国の8割が、サハラ以南のアフリカと変わらぬ貧困のうちに暮らしている(p259)
・結束の固い日本社会は、成長を犠牲にして完全雇用を維持したことで、10年を無駄にするどころか、国の中核的利益を守り通した、しかし次の10年は公的・民間部門の債務を際限なく増やして完全雇用をする方法はとれなくなる(p263)
・インドには中央政府があるものの、国を構成する各州が独自の法律をもっており、その一部が経済発展の妨げになっている(p277)
・次の10年は、アメリカが他の問題に気を取られるため、アジアの二大強国(中国と日本)は、外部勢力の影響をうけず、独自の道筋を歩むだろう(p280)
・アンゴラはブラジルと同様、ポルトガル語を母国語をとしている。ブラジルが南太平洋を支配するだけでなく、アフリカ沿岸部に配置することもあり得る(p291)
・もし1800年に分別のある人に、200年後に北米を支配している国はどこかと尋ねたら、メキシコと答えただろう。先進国、軍事力も強かった。(p293)
・アメリカは、メキシコの違法移民と、麻薬の不正輸出という、ふたつの問題に直面している。根底にあるのはアメリカの経済システムがそれを求めているという事実である。不法入国するのは仕事が確実に見つかるから(p295、297)
・メキシコ移民が流入している地域は、かつてのメキシコ領土であることが多い。メキシコ人は移住しても、本国との結びつきを断つとは限らない。異文化に適応する必要はほとんどない(p296)
・麻薬の利益率の、妥当かつ控えめな推定値は90%、400億ドルの違法取引は360億ドルの利益をもたらす。1300億ドルの合法的輸出の利益(130億ドル)の3倍にも上る(p299)
・アメリカにたどり着く前の麻薬は原価が非常に安いため、貨物を欧州しても貿易額にはほとんど影響ない。すぐに補充される(p300)
・アメリカがとるべき最良の戦略は、移民の流入を全力で阻止していると見せかけて、こうした取り組みが確実に失敗するように取り計らうこと、これがアメリカがとってきた不法移民戦略(p301)
・カナダのどこかの州がアメリカの敵対勢力と結びつくのはアメリカは許さない、起こり得るシナリオは、ケベック州が独立したとき。(p306)
・次の10年に影響を及ぼす2つの問題は、人口動態と科学技術である(p321)
・有用なロボット開発には、長い間発展が見られない2つの重要分野での技術的ブレークスルーが不可欠、マイクロプロセッサとバッテリー(p325)
・次の十年で、合流しつつある二つの技術が行詰るだろう。1つが通信革命、2つめが破壊的なデジタル技術である。(p326-329)
・デジタル技術で必要なのは、攻めの姿勢をとり、データを利用して現実に働きかけ、変えること(p330)
・問題は、脱塩にも、水の輸送にも、とほうもないコストと莫大なエネルギーが必要であること。このエネルギーは、現在利用可能な技術では、得られない。宇宙太陽光発電など、新しいアプローチが必要(p335)
・10年という短い時間枠では、一人ひとりの個人、政治権力を握る個人が下す決定が重みをもつ、これは100年という長い範囲での将来シナリオ作成ではほとんど考慮されなかった。(p361)